4月第3週(4/13〜4/19)(最高3つの*)

メインテーマ: 「賃上げ率1.91%、小幅な伸び」
その他のテーマ: 「後期高齢者医療、独居世帯は負担減に」

[雇用情勢]

(1)賃上げ率1.91%、小幅な伸び(4/13) ***

 日本経済新聞社がまとめた08年の賃金動向調査によると、主要企業の賃上げ率は1.91%となった。伸び率は前年より0.11%高くなったが、原燃料高や食品値上げによる物価上昇分を差し引いた実質賃上げ率は0.91%と前年比0.82%低下した。

 賃上げで有効回答を得た199社の基準内賃金は、30万5,304円(平均年齢37.1歳)で、賃上げ額は5,870円であった。

 今年の賃金交渉は、昨年までの好調な企業業績を受け、福田首相が経団連の御手洗会長に「景気を浮揚させるため」の賃上げを要請し、経団連も一時は「賃上げ容認」に傾いた。しかし、直後に為替相場が急激な円高ドル安となり、賃上げの伸び幅は小幅にとどまった。第一生命経済研究所によると、物価上昇分を除いた08年の実質賃上げ率は0.91%とみる。07年の1.73%から急減速となり、消費拡大にはつながりにくい。

 年間一時金の支給額にも急ブレーキがかかっている。主要130社の平均支給額も前年比0.92%にとどまり、前年の2.50%増から大幅に低下した。


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[社会保険]

(1)後期高齢者医療、独居世帯は負担減に(4/16) ***

 厚生労働省は、75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度の保険料を初めて年金から天引きした。対象者は、832万人である。舛添厚生労働相は、「保険料を金融機関で払う手間を省くことができ、保険料も7〜8割の人は国民健康保険に比べ下がる」と説明する。だが、東京など大都市では、保険料が上がる例も目立ち、現場の混乱が続いている。

 新制度の特徴は、市町村の運営する国民健康保険などに入っていた75歳以上の高齢者を、都道府県単位で運営する広域連合に移してまとめて管理する点にある。高齢者の比率が高く保険財政の苦しい過疎の自治体と、比較的ゆとりのある都市部の自治体とでは、国保の保険料には5倍程度の格差があった。運営の単位を市町村から都道府県に広げることで、格差は2倍程度に縮小する。全国民が医療保険制度に加入する皆保険を維持するのが新制度の最大の狙いだ。

 国保から新制度に移ると、独居世帯では基礎年金受給者(年79万円)で年額3万3100円だった負担が1万2500円に、平均的な厚生年金受給者(年201万円)の場合で年額9万1,900円だったのが、6万9,900円にそれぞれ減る。厚労省は、平均的な世帯で負担減となる理由を「国保の保険料は資産に応じ負担する資産割や、世帯ごとに課す世帯別平等割があったが、新制度にないため」と説明する。中・低所得者の保険料負担は、平均すれば下がる。一方で、夫婦の年金収入が年額520万円を超すケースでは、収入が増えるほど保険料も上がる。そして、息子や娘が会社員で、被扶養者として加入していた高齢者は、これまで保険料負担はなかったが、10月からは負担を求められる。そして、大都市部では、広域化して都道府県単位になったことで中低所得者に保険料負担を軽減する制度が取れなくなった。

 こうした制度変更を,厚生労働省や自治体が丁寧に説明してこなかったことも、混乱につながっている。


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