4月第2週(4/6〜4/12)(最高3つの*)

メインテーマ: 「アメリカ景気、企業・個人両輪陰る」
その他のテーマ: 「サブプライムローン問題による金融機関の損失、97兆円に」
「人民元上昇、初の6元台」

[アメリカ経済]

(1)アメリカ景気、企業・個人両輪陰る(4/6) ***

 アメリカ経済成長の両輪である個人消費と設備投資の陰りが鮮明になってきた。2月の個人消費は、前月比0.1%増で、物価上昇分を除くと伸び率は実質ゼロである。また、耐久財受注の大幅減などで、1〜3月期の設備投資が1年3ヶ月ぶりに前期比マイナスに転じるとの見方も出ている。金融市場の行方は不透明の中で、実体経済の停滞感は一段と増している。

 家計部門は、節約が可能な自動車、衣料、外食、旅行の出費抑制に乗り出している。3月の新車販売台数は、前年同月比12%減と5ヶ月連続で前年割れであった。

 3月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比8万人減少し、5年ぶりの大幅減となった。減少は3ヶ月連続で、今後、個人消費の冷え込みに拍車がかかる可能性がある。

 企業の設備投資も減速している。先行指標の耐久財受注が1月の前月比4.7%減に続き、2月も1.7%減と事前予測を下回った。豪クラウン・グループが計画していたラスベガスの4万5千室のホテル建設計画が、最近頓挫した。

 アメリカ市場関係者の間では、アメリカ経済は01年3〜11月以来、約7年ぶりの景気後退期に入るとの見方が大勢だ。住宅価格の下落、エネルギー・食品高に加え、3月の失業率は5.1%と2年半ぶりの高水準で、GDPの柱である個人消費の大幅減速が不可避との見方が強まっている。


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[世界経済]

(1)サブプライムローン問題による金融機関の損失、97兆円に(4/9) ***

 国際通貨基金(IMF)の「世界金融安定性報告」で、サブプライムローン問題による世界の金融機関の損失が約9,450億ドル(約97兆円)に上ると推計された。同報告は、公的関与の必要性を指摘している。

 昨年10月の前回報告では、損失を2,400億ドルと推計したが、その後の住宅価格の下落に加え、試算の対象を商業不動産担保融資などに広げたため、損失額が大きく膨らんだ。

 報告は、国際金融市場の現状を、リスクは依然高水準と指摘している。


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[中国経済]

(1)人民元上昇、初の6元台(6/11) ***

 人民元の対ドル相場の上昇率が、加速している。10日、中国人民銀行によると、1ドル=6.992元と05年7月の切り上げ後の高値を更新し、初めて6元台をつけた。

 中国政府は、05年貿易黒字拡大への批判lを受け、1ドル=8.276〜8.28元の範囲に事実上固定してきた人民元レートを2%切り上げ、複数の通貨レートを加重平均して算出する通貨バスケットを参考にする制度に移行した。しかし、人民銀行は、切り上げ後急激な人民元高を抑えるため、ドル買い・元売りの市場介入を続けてきた。これは、貨幣供給の急激な増加となり、株式や不動産価格の高騰など過度なインフレを招く要因の一つになっていた。

 中国政府は、インフレ抑制策の一環として人民元高を容認していると見られ、市場では一段の元高を予想する声が多い。3月の政府活動報告では、08年の消費者物価指数の上昇率を昨年実績と同じ4.8%前後に抑える方針を打ち出している。人民元は、中国の輸出企業にとりマイナス要因となる。


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