9月第3週(9/9〜9/15)メインテーマ:「4〜6月期GDPマイナス成長」(最高3つの*)
その他のテーマ:「月例経済報告、基調判断据え置き」
「ニューヨーク原油最高値、消費者・企業に打撃」


[景気動向]

(1)4〜6月期GDPマイナス成長(9/10) ***

 4〜6月期のGDPの改定値は、実質GDP成長率が3四半期ぶりにマイナスになり、−0.3%と、戦後最長の景気回復の先行きに不透明感が漂い始めた。先導役の企業部門では、設備投資が減少している。アメリカのサブプライムローン問題など不安材料は増えつつある。

 GDP改定値がマイナスになったのは、企業部門が低調だったことが主な要因だ。設備投資が、速報段階のプラスの伸びから前期比マイナス1.2%となり、2四半期連続で減少した。輸出も下方修正され、1〜3月期の3.4%増から大きく減少した。

 先行きの懸念材料としては、第一にサブプライムローン問題が挙げられる。アメリカ経済が変調すると、日本の企業への影響も大きい。円高の進行、原油価格の高騰もある。

 一方、6月の日銀短観(日銀の企業短期経済観測調査)では、設備投資の先行きは堅調だ。4〜6月期のマイナスの設備投資の伸びは、対象企業の入れ替えなど一時的な要因でぶれたとの指摘がある。このため、7〜9月期は反動で増えるとの声も多い。

 GDPの6割弱を占める個人消費は、4〜6月期も前期比0.3%増と力強さを欠いたままだ。雇用者報酬は、名目で前年同期比0.3%増にとどまった。6月から定率減税が廃止されるなど個人住民税の負担が増え、7〜9月期の個人消費に悪影響を与える懸念もある。8月の猛暑が消費を押し上げるとの期待もあるが、個人消費も先行きははっきりしない。   

[実質成長率]
実質GDP成長率 −0.3%
個人消費 0.3%
住宅投資 −3.4%
設備投資 −1.2%
公共投資 −2.6%
輸出 0.8%
輸入 0.6%
GDPデフレーター −0.3%
名目GDP −0.2%
(すべて前期比伸び率%)


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(2)月例経済報告、基調判断据え置き(9/15) ***

 政府は、9月の月例経済報告で、景気の基調判断を10ヶ月連続で据え置いた。表現は、「このところ一部に弱さが見られるものの、回復している」として、景気は緩やかな回復基調を続けているとの判断を維持した。2002年2月に始まった現在の景気回復は、月例経済報告では5年8ヶ月続いたことになる。

 月例報告で基調判断の表現が変わったが、それは設備投資が落ち込んだためだ。しかし、生産が低迷していたIT関連部品などで持ち直しの動きが見られ、GDP改定値がマイナスとなった設備投資の減少も一時的なものと分析し、基調判断は据え置いた。

 景気の先行きについては、回復が続くと見込まれるとの見通しを維持した。サブプライムローン問題が深刻なアメリカ経済の動向を懸念材料に追加した。


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[物価水準]

(1)NY原油最高値、消費者・企業に打撃(9/14) ***

 ニューヨーク商業取引所の原油先物相場で、国際的指標であるテキサス産軽質油(W TI)の10月渡し価格が、一時、1バーレル=80.20ドルに上昇し、12日に記録した史上最高値を更新した。背景には、サブプライムローン問題の余波で、株式市場から逃げ出した投機資金が原油市場に再び流れ込んでいることがある。原油価格の高止まりは、石油関連製品だけでなく身近な商品やサービスの値上がりにもつながりそうだ。

 石油元売りの出光興産は、9月後半の卸売価格を9月前半に比べ1円引き上げる事を決めており、10月以降にガソリン店頭価格は値上がりしそうだ。日航と全日空も、航空機の燃料が高止まりしているため、10月から国際線の運賃を片道数百円から数千円引き上げる。     


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