9月第2週(9/2〜9/8)メインテーマ:「初任給大幅アップ、大卒20万5,074円」(最高3つの*)
その他のテーマ:「かすむグリーンスパン神話、相次ぐ批判」


[雇用情勢]

(1)初任給大幅アップ、大卒20万5,074円(9/4)

 07年3月に卒業した大卒、短大卒、高校卒の新入社員(事務系)の初任給が、97年以来10年ぶりの大幅増額となった。日本経団連が会員企業など731社を対象に行った調査結果による。景気回復や団塊世代の大量退職などを背景に、就職活動は学生有利の売り手市場となり、企業側が初任給アップで人材を奪い合った結果である。

 調査によると、大卒の初任給は前年比0.66%増の20万5,074円、短大卒は同0.61%増の17万2,577円で、上昇率は97年の0.7%以来の高い伸びであった。高卒は同0.60%増の16万1,273円であった。

 一方、大卒初任給で、中小企業が大企業を上回る状況が03年から続いている。若者の大企業志向で、中小企業の新卒採用が厳しいことが背景にある。

 厚生労働省の毎月勤労統計調査では、7月の全国の勤労者(パートを含む)の現金給与総額は、前年同月から減少しており、採用確保のため企業が新卒者の初任給を増やす一方で、勤労者全体の給料が増えていない状況は続いている。


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[アメリカ経済]

(1)かすむグリーンスパン神話、相次ぐ批判(9/2) **

 低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)問題をきっかけに、FRB前議長のアラン・グリーンスパン氏への風当たりが強くなっている。議長当時、低金利政策を続けたことが住宅ブームの加熱を招き、投資家の金融政策に対する甘えも生んだとの批判だ。

 2000年春のITバブルの崩壊、01年9月のアメリカ同時テロなど市場に大きなショックが走ると、グリーンスパン氏は、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利を引き下げ、混乱を防いできた。経済アナリスト出身で、企業経営の経験もある氏は、金融政策にあたり市場のシグナルを重視した。しかし、今になってこうした手法は、いざとなればFRBが何とかしてくれるという投資家のモラル・ハザード(倫理の欠如)を招いたと批判されている。

 氏が01年12月から約3年にわたり2%を切る低金利を続けたことで、資金を市場にだぶつかせ、サブプライムのような風変わりな住宅ローンを生み出したとの批判も強まっている。低金利の結果、住宅価格は大幅に上昇した。このため、所得が低い人でも一層の価格上昇を見込んで住宅を購入するようになり、サブプライムの利用は急増した。 

 サブプライムは、当初低金利で後から金利が跳ね上がる。同氏は、「伝統的な固定金利に代わる変動型住宅ローンは消費者にとり大きな利益となる」と発言したが、これもサブプライムの利用をあおったと問題視されている。また、金融機関の間に、手数料ほしさに無審査で融資するなどの行為が横行したことについても、氏の金融機関への監督が不十分だったとの批判を招いている。


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