10月第5週(10/28〜11/3)(最高3つの*)

メインテーマ: 「アメリカGDP7〜9月期3.9%上昇」
その他のテーマ: 「東京モーターショー」
「日銀展望レポート、サブプライム不確定状況続く」

[自動車市場]

(1)東京モーターショー(10/28) **

 幕張メッセで公開されている東京モーターショーでは、最新の環境技術も見所の一つだ。日本勢だけでなく、エンジンの低燃費化を得意とするドイツメーカーも、自らの技術力をアピールしようと懸命だ。アメリカ大手3社が環境分野の新技術を見送っただけに、日独メーカーのライバル関係が際立っている。

 日本メーカーは、10年前にプリウスを開発したトヨタ自動車を筆頭に、エンジンと電気モーターを併用するハイブリッドエンジンを得意とする。ドイツメーカーは、元々燃費の良い軽油を燃料にするディーゼルエンジンの開発で優れた技術を持つ。世界的に環境意識が高まる中で、日本勢はディーゼルエンジンに、ドイツ勢はハイブリッドエンジンにと、互いの得意分野へ開発の手を伸ばしているのが最近の特徴だ。

 トヨタ自動車は、高級車クラウンのハイブリッド仕様や、スポーツ車FT−HSなど5つのハイブリッド試作車を出した。渡辺社長は、「ハイブリッドは、ディーゼルや燃料電池にも対応できる技術だ。大きさ、コストとも半分以下にし、将来は全車種に搭載する可能性がある」と述べている。本田の試作車CR−Zはハイブリッドを搭載した小型スポーツ車で、福井社長は、早期の商品化を目指すとしている。日本勢では、このほか、環境への負荷を減らしたクリーンディーゼル車や、電気自動車の出品が目立つ。

 一方、ドイツフォルクスワーゲンが世界で始めて公開した小型車スペースアップは、小排気量ディーゼルを中心に電気自動車化も想定した世界戦略車だ。ダイムラーのディーゼルハイブリッド車「C300 ブルーテックハイブリッド」は、242馬力の高出力と1リットル当たり21.7キロ低燃費を両立させた。今後全モデルでハイブリッドシステムを搭載可能にする戦略だ。


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[金融市場]

(1)日銀展望レポート、サブプライム「不確定状況続く」(11/1) ***

 日銀は、発表した「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で、米低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き問題など世界経済が抱える不安定要因に一定の懸念を示しつつも、日本経済が引き続き堅調に推移していくとの認識を示した。07年度の消費者物価上昇率の見通しは、小幅ながら下方修正したが、中長期的にはプラス幅が拡大するとの見通しを示し、環境が整えば直ちに利上げする意欲をにじませる内容となった。

 日銀が07年度の全国消費者物価指数(CPI,生鮮食品除く)の上昇率見通しを下方修正したのは、CPIが9月までの8ヶ月連続で前年同月を下回ったためだ。ただ、市場では、原油価格の急騰でガソリン価格の上昇や食品の値上がりなどにより、年末にかけCPIが上昇に転じるとの見方が多い。日銀は、08年度は0.4%程度の上昇が続くとの見通しを示し、長期的にプラス幅が拡大していくと予測している。

 日銀は、政策委員が中長期的に見て安定しているとする物価上昇率を「消費者物価の前年比上昇率が0〜2%」と捕らえている。物価の面からは利上げに向けた地ならしが進んでいるといえそうだ。

 国内経済については、展望レポートは「緩やかに拡大している」との認識を示した。福井総裁も「企業部門の好調さが続き、家計部門への波及も緩やかに進んでいくだろう」と、楽観的な見通しを示した。

 レポートは、アメリカ経済の減速が長引くとの見解を示す一方、「日本の金融環境に及ぼす影響は限定的」との認識を示した。ただ、「サブプライム問題の影響は少しずつ明確になりながらも、不確定な状況が続いている」と述べており、利上げに向けた大きなハードルとなっている。


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[アメリカ経済]

(1)アメリカGDP7〜9月期3.9%上昇(11/1) ***

 アメリカ商務省によると、7〜9月期の実質GDP(速報値)は、年率換算で前期比3.9%となった。06年第1四半期の4.8%以来の高成長となった。

 好調な輸出などが推進役となったが、住宅投資は大幅なマイナスが続いている。サブプライムローン問題の影響が本格化すると見られる第4四半期以降のアメリカ景気に不透明感が残る。住宅投資はマイナス20.1%と、前期よりマイナス幅は8.3%拡大した。7四半期連続の前期割れとなり、住宅市場の深刻な冷え込みを浮き彫りにした。一方で、底堅い海外景気とドル安を背景に、輸出は好調で、前期より8.7%高い16.2%と、03年第4四半期以来の高い伸びとなった。輸入も伸びたが、外需全体でGDPを0.93%押し上げた。

 GDP全体の約3分の2を占める個人消費の伸び率は、前期を1.6%上回る3.0%となった。住宅市場の冷え込みが、現時点では消費などに影響していないとの見方を裏付けたといえるが、年末商戦の動向が注目される。


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