10月第2週(10/7〜10/13)(最高3つの*)

メインテーマ: 「目標達成へ13業界CO2追加削減」
その他のテーマ: 「オフィス互換ソフト無料配布、マイクロソフト包囲網」

[情報産業]

(1)オフィス互換ソフト無料配布、マイクロソフト包囲網(10/7) **

 ソフトウェア最大手のマイクロソフトの主力製品「オフィス」と互換性が高いソフトウェアを、コンピューター大手のアメリカIBMと、インターネット検索最大手のアメリカのグーグルが、そろってネットを通じ無料で提供し始めた。世界で95%のシェアを占めるオフィスの厚い壁に風穴を空ける狙いだ。マクロソフトの外堀を埋めようとライバル2社が敷いたオフィス包囲網の行方が注目される。

 IBMが9月18日から提供を始めた「ロータス・シンフォニー」の配布数は、26日10万件に達した。好調な滑り出しだ。シンフォニーは、ワープロや表計算、資料作成ソフトなどを組み合わせた業務用統合ソフトだ。1本約140ドルで販売していたが、無料提供に踏み切った。完全ではないが基本的にオフィスと互換性があり、ワードやエクセルのファイルを扱える。一方、グーグルも8月から、同分野のソフト「スターオフィス」を、グーグルのサイトを通じ無料配布している。IBMやグーグルは、ソフトウェアの販売に頼るマイクロソフトとは異なり、これが無料配布を可能にした。

 マイクロソフトにとり、世界での累計販売本数が約5億本に達した超ヒット商品のオフィスは、絶対に譲れない収益源だ。4〜6月期決算では、オフィスを軸とするビジネス部門の営業利益は、29億9,400万ドルと、全体の利益の約4分の3に達した。

 ただ、圧倒的なシェアを背景に、他社製品を駆逐してきたマイクロソフトのビジネスモデルに対しては、欧州委員会が独占的地位を乱用しているとして制裁金を科すなど、批判も強い。  シンフォニーとスターオフィスはともに、オフィスに対抗するために世界中の技術者がネットを通じ共同開発している無料互換ソフト「オープン・オフィス」の改良版だ。両社は、技術協力などでこうした取り組みを支援する。コンピューターのOSでは、すでにウィンドウズに対抗して共同開発された無料OSリナックスがウィンドウズの3分の1程度のシェアを持つに至っている。  オフィスの機能や安定性は優れており、すぐにシェアが大きく変わることはないだろうが、ブランド力のある企業が無料ソフトを投入したことで、利用者からはマイクロソフトの製品が割高に見える。中長期的には、マイクロソフトの経営戦略に影響を与える可能性もある。


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[環境問題]

(1)目標達成へ13業界CO2追加削減(10/12) ***

 政府が京都議定書で約束した温室効果ガスの削減目標達成に向け、これに協力する15業界は、環境省と経済産業省の合同審議会に、自主的に定めた行動計画を見直すと11日報告した。13業界は、目標数値を引き上げた。達成困難となっていた電力業界も、省エネ設備の、海外からの温室効果ガス排出権の取得を拡大する方針を正式報告した。月末までに全業界の追加対策が出揃うが、製造業などの削減努力は限界に近いとの見方が多い。家庭やオフィスなどの削減努力が、今後の課題となる。

 13業界の追加削減量は、CO2換算で合計約1,300万トンに達した。産業界は、京都議定書で約束した「08年度から12年度平均で、90年度比6%の温室効果ガスの削減」の実現のため、自主行動計画を定めて協力している。しかし、政府の試算では、当初の行動計画が達成されても、10年度の排出量は90年度比で減るどころか0.9%〜2.1%増になる見通しだ。議定書の目標を達成するには、最大8.1%分の削減が必要になる。政府は、このうちの1.6%分を政府自身が海外から排出権を獲得して、穴埋めをする方針だ。また、植林などを増やすことで、3.8%分を賄おうとしている。しかし、依然、最大2.7%分(3,400万トン)についてはメドが立っておらず、産業界の追加協力を求めていた。

 11日に出揃った1,300万トンだけで、この2.7%の4割に当たる。各業界とも省エネ設備の新規導入や風力発電などの活用で、一段の削減を目指す方針だ。

 月末までに自動車、電機、百貨店などの業種も計画の見直しへの態度を表明し、最終的に100業種程度の対応が出揃う予定だ。現行目標の達成が難しい業界である電気事業連合会や、日本鉄鋼連盟なども、排出権の取得量を増やす計画を示した。

 しかし、製造業は、すでに05年度実績で、90年度比で排出量を5.5%程度減らしている。世界的に見てもすでに日本の省エネ水準は高く、限界を指摘する見方が示された。一方で、パソコンなどの普及で、業務部門は05年度実績で同44.6%増、大型家電の普及などで家庭部門は同36.7%増と大幅に増えている。このため、政府は来年の常会に提出する省エネルギー法改正案でコンビニなど小さな店舗にも省エネ計画を義務付ける。また、断熱材の使用などの省エネ対策を、大規模住宅・建築物から中小規模まで拡大する方針だ。

 一方、環境省は、切り札として、排出枠を企業が売買する排出権取引や、温室効果ガスの排出量に応じて課税する環境税の導入なども検討している。  


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