5月第5週(5/27〜5/31)メインテーマ:「需給ギャップ、プラス0.7%」(最高3つの*)
(1)需給ギャップ、プラス0.7%(5/29) ***
内閣府は、日本経済全体の需要が供給能力をどの程度上回っているかを示す「GDPギャップ」(需給ギャップ)が、07年1〜3月期はプラス0.7%となり、2四半期連続のプラスになったと発表した。
07年1〜3月期の実質GDP成長率が年率換算で2.4%と堅調な伸びとなり、1.4%程度と見られる潜在成長率を上回った。
デフレ脱却の時期については、浜野内閣府審議官は「視野に入っているが、後戻りの可能性がないか十分見ていく」と述べ、経済指標を注視していく考えを示した。
需給ギャップは、デフレのため、06年7〜9月期まで9年6ヶ月間マイナスが続いていた。
(1)大手銀、利益は高水準だが本業伸び悩み(5/24) ***
大手銀行6グループ合計の07年3月期決算は、大幅減益となった。しかし、超低金利を背景に、利益水準はなお高い。公的資金返済で経営の自由度を増した3メガバンクは、現金自動預け払い機(ATM)手数料の無料化や大幅な増配など利益還元策を打ち出したが、独自性に乏しく横並びである。不良債権の重圧から抜け出した大手行が完全復活を遂げられるかは、この1年が正念場となりそうだ。
07年3月期の業績が伸び悩んだ最大の要因は、提携する消費者金融や信販会社の税引き後利益が巨額の赤字となったためである。三菱UFJフィナンシャル・グループは、アコムや三菱UFJニコスの業績不振により、約1,300億円分の利益が吹き飛び、三井住友フィナンシャル・グループもプロミスの赤字決算のあおりで約1,100億円が消えた。そして、債務超過となったオリエントコーポレーションへの金融支援に追われたみずほフィナンシャル・グループは、07年3月末の不良債権比率が1.65%と1年前の1.41%から上昇した。今後、貸し金業の規制強化が進めば、ノンバンクの高収益体質も期待できず、経営の不安定要素としてくすぶり続けそうだ。
最近の金利上昇局面で、大手銀行は利ざやが拡大すると期待した。しかし、預金金利の上昇率に比べ、貸出金利の上昇率は小幅にとどまり、利ざやが拡大したのはみずほと住友信託銀行だけであった。地方銀行や信用金庫も、低金利競争に参加しているためだ。
メガバンク各行は、07年3月期に続き08年3月期も大幅な増配に踏み切り、株主重視の姿勢を示した。ただ、増配額はそろって3,000円となるなど他行を意識した感が強い。利益の3〜4割を配当にまわす欧米の金融機関にも遠く及ばない。
(1)失業率改善、積極採用背景に(5/30) ***
総務省によると、4月の完全失業率は3.8%となり、98年3月以来、9年1ヶ月ぶりに3%台に改善した。背景には、団塊世代の退職が本格化する中で、業績回復を受け企業が積極採用に乗り出していることがある。しかし、労働者一人当たりの賃金が上がっていないため、雇用増が消費全体を浮揚させるまでには至っていないのが現状だ。賃金の高い団塊世代の退職で、一人当たりの平均賃金は上がらない。内需主導の景気回復には、賃金上昇が次の課題だ。
自動車業界や金融機関も積極採用が目立っている。しかし、労働市場全体では、正社員よりもむしろパート、アルバイトや派遣社員などの非正規社員の増加が目立つ。その割合は、07年1〜3月期で33.7%となり、02年の集計開始以来最高となった。
外食産業でも、アルバイト不足が広がっている。大和総研によると、今年3月のパートやアルバイトの時給は、前年比1.0%増で、05年2月から前年実績を上回っている。企業は、時給の上昇を受け入れても、景気後退時に雇用調整できる非正規社員の採用を受け入れている。