5月第2週(5/6〜5/12)「上場企業、4年連続最高益」(最高3つの*)
(1)上場企業、4期連続最高益(5/12) ***
企業収益の拡大が続いている。日本経済新聞社が集計した上場企業の07年3月期決算は、連結経常利益が前期比12.2%増え、4年連続で過去最高を記録した。世界的な景気拡大を追い風に、機械や商社、自動車などがけん引している。円安も輸出企業の利益を押し上げた。
集計社数は全体の4割だが、株式時価総額で7割、利益額では8割を占める。経常増益は5期連続となり、76〜80年度の増益記録に肩を並べた。
好業績を支えたのは中国やインドなど新興国の経済成長だ。道路などインフラ整備の需要増を受け、機械関連が好調だ。ロシアなど新興国は欧米に次ぐ稼ぎ頭に変わりつつある。 世界的な経済成長は、原油などの資源・素材価格の上昇につながっており、非鉄金属や商社は20〜30%台の増益になった。原燃料高の影響で、パルプ・紙や海運は減益となり、明暗を分けた。
円安効果も見逃せない。前年より4円の円安となっており、自動車大手5社では、円安が合計5,412億円の利益押し上げ要因になった。
販売数量の増加や円安が寄与し、上場企業の売上高は10%増加した。これまでのリストラで収益全体が強化されており、売上高が伸びると利益が出やすくなっているのが最高益につながっている。
(1)林道官製談合、理事「落札率93%」指示(5/6) **
農水省所管の独立行政法人の緑資源機構発注の林道測量コンサルタント業務を巡る官製談合事件で、同機構の林道事業の計画・発注を統括する森林事業部の担当理事が、官製談合防止法施行直後の03年4月、会議で、受注予定業者に予定価格の約93%の金額で入札させるように指示していたことが分かった。予定価格に対する落札価格の割合である落札率が95%以上だと一般に談合が疑われるため、こうした指示をしたとみられる。この指示に基づき、受注予定業者に入札額を漏えいしていたという。
公正取引委員会と共に捜査している東京地検特捜部は、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で本格解明に乗り出す。
官製談合防止法は、03年1月に施行され、発注者側が談合に関与した場合、公取委が改善措置を求めることができるようになった。公取委と特捜部は、機構側が談合発覚をのがれるため、受注予定業者に落札率まで指示していたと見られる。
(1) 大手6行2期ぶり減益(5/8) ***
大手銀行6グループの07年3月期連結決算は、税引き後利益が合計で2期ぶりの減益に転じ、過去最高の06年3月期の約3兆2,000億円から2兆6,000億円程度まで落ち込む見通しだ。系列ノンバンクの業績悪化で貸し倒れ引当金の積み増しを迫られていることが最大の要因だ。さらに減益となることは確実とする大手行もあり、税引き後利益の合計額は、さらに下ぶれする可能性もある。
(1)イギリス、5.5%に利上げ(5/11) ***
イギリスの中央銀行であるイングランド銀行(BOE)は、10日金融政策委員会を開き、政策金利を現行の年5.25%から0.25%引き上げ、年5.50%とする決定を行い即日実施した。この結果、アメリカの短期金利の指標となるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標の年5.25%を抜き、先進7カ国諸国のうち最も高い金利水 準となった。
BOEは、利上げの理由について、イギリスの経済成長は強く、中期的にインフレ率を目標の2%に近づけるためと説明した。イギリスでは、3月の消費者物価指数が前年同期比3.1%上昇し、イギリス政府の定めたインフレ目標の上限を突破した。このため、イギリス中銀法に基づき、BOE総裁が財務相に釈明の書簡を送る事態となっていた。これを受け、市場では5月の利上げが確実視されていた。
(2)ブレア首相辞任声明、イギリス改革の10年(5/11) ***
ブレア首相は、10日、地元支持者の前で退任日程を告げた演説で10年間の実績を 誇らしく語った。
在任10年間は、経済のグローバル化とアメリカ主導のテロとの戦いが同時進行した時期に当たる。政権の軌跡を決定付けたのは、市場経済を柱とする経済と英米同盟堅持という、首相が一貫して抱いていた信念だ。
ブレア政権の下、イギリスは順調な経済成長を続け、一人当たりの国内総生産(GDP)は日本を抜き、アメリカに次ぎ2位である。外国為替取引、デリバティブ(金融派生商品)取引でロンドンがニューヨークをしのぐ国際金融センターの地位を確立させたことに象徴されるように、イギリスは大競争の中でしっかり生き残った。
ブレア首相は、就任時、市場経済と社会的公正の両立を目指す第三の道を掲げた。ブレア政権が成功したのは、サッチャー元首相の遺産である市場経済、民営化を確固たるものとしたことであり、さらに、貧困層への支援など社会的公正のために努力したことであるとされる。
しかし、多額の予算を教育、医療分野に投入しながら、10年後国民の大多数は、サービスが向上したという満足感を得ていない。教育や医療に競争原理を導入してサービスを向上させるという改革の試みは、労働党の伝統的基盤である教職員組合などの抵抗で切り崩されたと指摘されている 。