3月第4週(3/18〜3/24)「公示地価16年ぶり上昇」(最高3つの*)


[金融市場]

(1)政府系金融、改革の実現になお課題は多い(3/20) **

 今国会に提出された政府系金融機関の改革関連法案の目的は、官製金融の規模を縮小し、民間に任せられる部分は民間に任せて効率化するということである。成立すれば来年10月に統合や株式会社化が実施されるが、残された課題も多い。

 国民生活金融公庫など3公庫と国際協力銀行の国際金融部門を統合し、新たに日本政策金融公庫を発足させる。沖縄振興開発金融公庫も、2012年度以降ここに合流させる。

 日本政策投資銀行と商工組合中央金庫は、政府出資の株式会社となり、5〜7年後までに政府保有株を放出して完全民営化する。公営企業金融公庫は廃止して、地方自治体が出資する地方公営企業等金融機構に衣替えする。郵政民営化と同様に、非効率になっていた資金の流れを改めるのが狙いだ。

 政府系金融機関の貸付残高の対GDP比率を半減させるという目標は、民営化により達成できる見通しだ。だが、それで十分ではない。日本政策金融公庫に統合される機関の融資残高は、合計で30兆円に上り、大手銀行のりそなグループ並みだ。融資規模の縮小や、重複する店舗、人員の合理化に、具体的な計画を立てて取り組む必要がある。

 官から民へをしっかり進めつつ、民に転じる機関の経営や、公共性の高い事業向けの融資など国民の利益の確保にも目配せする視点も欠かせない。


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[地価]

(1)公示地価16年ぶり上昇(3/23) ***

 国土交通省によると、07年1月1日時点での公示地価は、全国平均で、住宅地(前年比0.1%)、商業地(同2.3%)、工業地などを含む全用途(同0.4%)が、91年以来16年ぶりに上昇に転じた。土地デフレが終息しつつあることが鮮明となった。東京、名古屋、大阪の三大都市圏では、商業地が2年連続上昇し、住宅地は16年ぶりに上昇に転じた。一方、三大都市圏以外の地方圏では3年連続で下落幅が縮小(全用途同2.8%減)したが、住宅地(同2.7%減)、商業地(同2.8%減)とも15年連続で下落し、地域格差はさらに拡大した。大都市中心部の高い上昇が、地価全体を押し上げている。

 特に、都市再開発やターミナル駅の周辺などの利便性が高い地区は、地価が急上昇した。昨年2月に開業した表参道ヒルズに近い2ヶ所など全国3地点で、上昇率が45%を超えた。大阪圏では、大阪市の中心部、名古屋圏では名古屋駅周辺などで上昇率が40%以上の地点があった。地方圏でも、福岡市や札幌市の中心部は40%前後の上昇地点が見られた。 交通の便がよい地域は、マンションやオフィスの需要が堅調で、不動産ファンドなどの投資資金が流入して地価を押し上げた。


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[EU経済]

(1)統合の道、EU存在感(3/23) ***

 欧州連合(EU)の前身、欧州経済共同体(EEC)を発足させたローマ条約が、25日で調印50周年を迎える。多くの国で国境検問が廃止され、単一通貨ユーロが流通し、経済成長は力強い。環境、人権分野で世界をリードし、外交でも存在感を増している。EUの27カ国首脳は、25日議長国ドイツに集合しその成果を祝福し、ベルリン宣言を採択する。

 ドイツのメルケル首相は、統合の成果として平和、安定に加え、巨大市場を挙げた。総人口約4億9千万人に市場規模は日米など先進国で突出している。そして、EUが打ち出す消費者保護、環境規制などの規範は、グローバルスタンダードになっている。

 戦争の予防措置として、1951年、石炭、鉄鋼の共同管理から統合の一歩を踏み出した欧州は、より普遍的な共同市場の創設に向け、6カ国が57年ローマ条約に調印しEECを発足させた。そして、EECに続くECが順調に発展すると、それまでECの対抗勢力であったイギリスなどの加盟が進んだ。さらに、ソ連崩壊などにより統合が加速し、93年にEUが発足し、歴史的実験とも言われたユーロ導入にも成功した。

 一方で、27カ国体制となり、その運営のための欧州憲法の批准は、05年のフランス、オランダ国民投票で否決され、はっこうのめどが立たない。バローゾ欧州委員長は、躍進前の吸収期間として、停滞する現状を追認している。50年前も確実な将来像を誰も描けなかったのであり、激論を繰り返しつつ未知の実験が続いているといえよう。


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