3月第3週(3/11〜3/17) メインテーマ:「GDP年率5.5%、企業部門の好調続く」(最高3つの*)


[景気動向]

(1)GDP年率5.5%、企業部門の好調続く(3/13) ***

 内閣府による06年10〜12月期のGDPの改定値は、年率換算で5.5%と速報値より0.7%上方修正され、3年ぶりの高成長となった。設備投資が引き続き堅調だったほか、個人消費も7〜9月期の反動で増加したためだ。今後も景気回復が続くかどうかは、企業部門の好調さが賃金増加などにより家計に波及するかどうかが焦点だ。大詰めの春闘の労使交渉が注目される。

 GDP改定値の設備投資は、前期比3.1%増と、速報値から0.9%上方修正され4四半期連続のプラスの伸びと堅調さを示した。半年ほど後の設備投資の先行指標となる機械受注統計(船舶、電力を除く民間需要)は、1月、前月比3.9%増と2ヶ月ぶりに増加した。ただ、1月の鉱工業生産指数が前月比1.5%減と4ヶ月ぶりに低下し、企業部門は生産面で頭打ちの傾向が出ている。

 実質GDPの5割強を占める個人消費も、前期比1.0%増と堅調であった。ただ、冷夏の影響で落ち込んだ7〜9月期(1.1%減)の反動という側面もあり、力強さには疑問も残る。   10〜12月期の法人企業統計調査によると、全産業の経常利益は前年同期比8.3%増と18四半期連続の増益だ。しかし、人件費に回る割合である労働分配率は0.3%低下し、3四半期連続で前年実績を下回った。


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(2)3月の景気判断据え置きへ(3/14) ***

 政府は、3月の月例経済報告で、「景気は、消費に弱さが見られるものの、回復している」との基調判断を4ヶ月連続で据え置く方針を固めた。

 設備投資が堅調に推移し、企業部門を中心に景気回復が続いているとの基本的な判断は維持する。しかし、賃金の伸びが鈍化し、個人消費の伸びが弱いことも引き続き指摘する。

 賃金は伸び悩み、企業から家計への景気回復の波及が遅れている。1月の現金給与総額は、2ヶ月連続で前年実績を割り込んだ。


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[競争政策]

(1)三角合併、情報開示拡大へ(3/16) **

 法務省は、外国企業が自社株を対価に日本企業を買収できるようになる「三角合併」の5月解禁を前に会社法施行規則を改正し、合併される企業の株主に対する合併側企業の情報範囲を拡大することを決めた。株主に、合併の賛否の判断をしやすくする狙いだ。

 三角合併では、外国企業が日本に存在する子会社と日本企業を合併させ、対価として日本企業の株主に外国企業の株式を交付するケースなどを想定している。こうしたケースについて、改正案では日本企業(消滅会社)が株主に対し、海外親会社(外国企業)の株式の評価、損益計算書や監査報告などを日本語で説明するように義務付けた。株主は合併相手の経営状況が分かりやすくなる。

 ただ、外国企業が非上場の場合には、こうした規定が効果を持たない。経済産業省は、株主総会で合併に反対でき、また、合併前に株式を市場で売却したり、買い取り請求権を使い企業に買い取らせることもできるとしている。

 一方、昨年5月に施行された会社法では、三角合併は、株主総会に過半数の株主が出席した上で3分の2以上の賛成を必要とする特別決議により承認されることになった。これに対し、日本経団連は、承認の条件をより厳しくした、議決権の3分の2以上の賛成で承認とする特殊決議の導入を求めていた。政府・自民党は、経団連の主張を認めない決定をしている。しかし、5月に三角合併が解禁され、問題点が明確になれば見直す考えを示している。


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