3月第2週(3/4〜3/10)「中国経済なるか軟着陸」(最高3つの*)


[EU経済]

(1)欧州中央銀行、金利3.75%に上げ(3/8) ***

 欧州中央銀行(ECB)は、ユーロ圏13カ国の主要政策金利を、現在の年3.5%から3.75%にする決定を行った。  世界同時株安で、欧州の株式市場でも一時株価が大幅に下落した。しかし、ECBは、欧州圏内は堅調な経済成長が続くとみて、インフレ警戒から追加利上げに踏み切った。ECBは、05年12月に5年2ヶ月ぶりに利上げして以降、1年3ヶ月間で7回にわたり計1.75%利上げした。


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[中国経済]

(1)中国経済なるか軟着陸(3/6) ***

 中国の全国人民代表大会(国会)で、温家宝首相が「成長のスピードだけをいたずらに追及する」ことを防止する姿勢を強調した。これは、経済の軟着陸に向けた政策の継続に意欲を示したものだが、過熱気味の設備投資に加えて、行き過ぎた株高やバブル崩壊が懸念される状況となっており、シナリオどおりに経済のスピードダウンができるかどうかは、なお不透明といえる。

 中国は、06年に基準金利や預金準備率の引き上げなどの金融引き締め策を5回にわたり実施したほか、鉄鋼など一部の産業には行政指導で投資を抑制した。しかし、設備投資を示す固定資産投資の伸び率は、前年比24.4%増と05年の同26.0%増に比べほとんど減っていない。上海株式市場の総合指数が、1年間で2.3倍に広がるなど、比較的落ち着いていた株価にも加熱傾向が広がっている。

 温首相は報告の中で、固定資産投資や銀行による貸し出しを抑制するマクロ調整を強化していく方針を強調した。拡大を続ける貿易黒字については、内需拡大など多方面の手立てで改善するとしている。

[07年中国の主な経済指標の目標値]
指標 目標値 06年実績
GDP成長率 8%前後 10.7%
消費者物価上昇率 3%以下 1.5%
都市部失業率 4.6%以下 4.1%
都市部新規雇用増 900万人増 1184万人


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(2)中国、外資優遇税制撤廃へ(3/8) **

 中国の金財務相は、北京で開会中の第10期全国人民代表大会(国会)第5回会議で、外資優遇税制を撤廃する「企業所得税法」案を説明した。16日に成立する見通しだ。

 法案は、現在33%と定めている企業所得税を25%に下げる一方、外資企業などに対する12〜24%の優遇税率を撤廃するのが主眼だ。しかし、税率の引き上げは5年間の猶予期間を設定して段階的に行うほか、国が振興するハイテク産業などの優遇税制は残す。

 25%という新しい税率は、外資企業にとり負担増となる。この点に関して金財務相は「周辺諸国の平均税率は26.7%で、25%でも企業の競争力を高め、外資を誘致するのに有利だ」と述べ、対中投資への影響は大きくないとの認識を示した。日本貿易振興機構(ジェトロ)北京センターの真家次長は、「巨大市場に育ちつつある中国から撤退する選択肢も考えにくい」と、税率変更の影響は小さいと分析している。


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