6月第3週(6/10〜6/16) メインテーマ:「1〜3月期GDP3.3%増、非製造業に明るさ」(最高3つの*)
(1)1〜3月期GDP3.3%増、非製造業に明るさ(6/12) ***
内閣府によると、1〜3月期の実質GDP成長率は、年率3.3%と速報値より0.9%上方修正された。速報値でマイナス0.9%であった設備投資の伸びがプラス0.3%に転じ、個人消費や輸出も好調さを保ち、内需と外需のバランスが取れた景気回復の姿を示した。
今回の景気回復は、輸出関連の製造業が投資を先導してきたが、やっと非製造業に設備投資の動きが広がってきたといえる。設備投資と並ぶ内需の柱である個人消費は、改定値で前期比0.8%増と、0.1%下方修正されたが、四半期別では過去5年間で4番目に高い伸びとなった。その結果、内需は実質GDPを0.3%押し上げ、輸出から輸入を引いた外需も、GDPを0.5%押し上げた。
しかし、エコノミストの多くは、4〜6月期は景気が減速し、1%台後半を下回ると見ている。1〜3月期に個人消費が好調であったのは、暖冬で外食や飲食販売が増加した特殊要因が大きい。また、税源移譲により1月から国に納める所得税の負担が減り、1〜3月期の個人消費を0.2程度押し上げたとされる。しかし、4〜6月期はこれらの下支え要因がなくなる上、6月からは自治体に収める住民税の負担が増える。賃金の伸びも頭打ちが続いており、個人消費の実力が問われるのはこれからだ。
設備投資の先行指標となる機械受注統計では、企業側の4〜6月期の予想が前期比11.8%減となっており、設備投資が内需をどれだけ支えるかも焦点となる。
一方、外需を支えるアメリカ経済も、1〜3月期の実質GDPの改定値が、前期比年率0.6%増と、速報値から0.7%も下方修正された。日銀が発表した4月の実質的な輸出は、1〜3月期に比べ2.5%減少した。アメリカ向け輸出を中心に、輸出は今後も低迷する可能性がある。
(1)東証一部企業、配当最高5兆9,500億円(6/13) ***
07年3月期決算で、増配など株主への利益還元を打ち出す上場企業が増えている。新光総合研究所によると、東証一部上場企業の07年3月期の配当金総額は、約5兆9,500億円と過去最高になる見込みだ。業績の回復に加え、外国人株主を中心とした増配要求が増えていることも要因と見られる。
業種別で見ると、原油・原料高の恩恵を受けた商社や非鉄金属のほか、海外販売が好調な自動車や電機などでも増配が目立つ。大手銀行も増配で株主重視をアピールした。
上場企業の自社株買いも、06年度に総額約7兆5,000億円と過去最高となった。自社株を買って償却すれば、発行済み株式数が減り、株価の上昇を促し増配と同様に株主への利益還元となる。
これは、活発なM&A(企業の合併・買収)の動きにより、高配当で株主をつなぎとめ、安定株主を確保する必要が出てきた。増配の表明で株価が上昇すれば時価総額が膨らみ、買収されにくくなる効果も期待できる。
一方、現金などの内部留保が多いのに株主還元が不十分とみなした企業に、外国人株主らが圧力を強めていることも背景にある。6月の株主総会で配当増を求める株主提案は10件と、06年実績を上回る見込みだ。
(1)サブプライムローン、FRB異例の公聴会(6/16) **
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は、低所得者層を対象にした住宅融資サブプライムローンの焦げ付き急増について、異例の公聴会を開き、住宅ローン会社の強引な融資の実態が明らかになった。ローン返済の遅れで住宅の差し押さえも増えている。金融機関の融資姿勢も厳格になり、実体経済にジワリと影響を及ぼしている。
暴利をむさぼる融資から借り手を守る制度を早く作るべきだと、有力消費者団体代表のイーケス氏は主張する。この数年、担保とする住宅の売却や手数料収入を当て込んで、強引に貸し付ける住宅ローン会社の略奪的な融資が横行したとし,FRBの監視も不十分だったと批判した。
全米住宅抵当金融協会によると、サブプライムローンのうち、返済遅延を理由に住宅が差し押さえられた融資の割合は、07年1〜3月期に全米で5.1%と約3年ぶりの高水準にある。同時期の同ローンの延滞率は、13.77%と4年半ぶりの水準まで上昇した。FRBのバーナンキ議長は、同ローンの焦げ付きは08年にかけ増えると見ている。
住宅ローン会社に資金を供給してきた大手銀行は、焦げ付き問題が深刻化した2月以降、融資姿勢を厳しくしている。その結果、ローン金利が上昇すれば、住宅市場の回復が遅れるだけでなく、個人消費にもつながる可能性があるだけに、FRBは警戒を強めている。