6月第2週(6/3〜6/9)「07年『環境白書」、省エネ社会実現に制度の工夫を」(最高3つの*)


[経済政策]

(1)骨太の方針−政策の優先順位を明確にせよ(6/5) **

 当面の経済財政運営の指針である「骨太の方針2007」の素案がまとまった。参院選に向けて、経済政策に関する政府・与党の事実上のマニフェスト(政権公約)とも位置づけられる。素案は、人口減の中で成長を持続させ、生活の質を高くしていくことが日本経済の最重要課題であるとした。問題は、そのための実効ある政策だ。

 成長力の強化策は、就労支援や中小企業で働く人の賃金引上げなど、格差の固定化を防ぐ施策が中心だ。地域経済の成長力向上のためにと、地方の中堅企業の経営再建を支援する「地域力再生機構」を創設する方針も明記された。しかし、経産省がすでに始めた地方の中小企業再生支援策や、民間の事業再生ファンドと、機能が重複しないのかどうか。景気回復が遅れている地方への配慮をアピールする狙いもあるのだろう。

 喫緊の課題である財政健全化に関しては、昨年の「骨太の方針」で示した歳出改革を実現しているとしている。しかし、歳出削減だけでは、財政再建は達成できない。

 素案は、税制改革については、今秋以降消費税を含む本格的な議論を行うとし、「世代間・世代内の公平の確保」など、抽象的な基本哲学しか示さなかった。国民が知りたいのは、もっと具体的な改革の方向性ではないか。

 7年目の「骨太の方針」も、政策運営の指針として定着し、最近は予算獲得を目指す各省庁が、それぞれの政策を盛り込もうと熱心に動いている。そのため、内容は拡散気味だ。正式決定の際には、安部内閣として最重点施策は何なのかを、明確に示すべきだ。


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[環境問題]

(1)07年「環境白書」、省エネ社会実現に制度の工夫を(6/6) ***

 環境省が、進行する地球温暖化と対策技術をテーマにした今年の環境白書をまとめた。

 6日からのドイツでのハイリンゲンダム・サミットの主要議題は、温暖化対策だ。読売新聞の世論調査では、温暖化に不安を感じている人が71%に上っている。

 世界トップレベルの省エネ技術により、日本の製造業など産業部門のCO2排出量は減少している。一方で、家庭やオフィイスでの排出量は大幅に増加している。白書は、この民生部門での省エネへの積極的な取り組みが、排出量削減に大きな効果をもたらすと指摘している。

 家電製品の省エネ技術は、かなり進んでいる。一戸建ての家で、10年前の家電製品をすべて買い替え、窓を断熱性が高い複層ガラスにすると、CO2排出量を44%削減できるとの試算も示された。

 省エネ技術の一層の開発、省エネ型のライフスタイルに転換する国民運動、省エネ技術を社会の隅々に行き渡らせる制度面の改革の三位一体が、低炭素社会を作り上げられると白書は指摘している。しかし、制度改革の具体策には触れていない。環境省は、今後の課題としている。


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[ユーロ経済]

(1)欧州中銀4%に引き上げ(6/7) ***

 欧州中央銀行(ECB)は、ユーロ圏13カ国の主要政策金利を現在の3.75%から0.25%引き上げ、4%とする決定を行った。05年12月に5年2ヶ月ぶりに政策金利を引き上げて以降、1年半で8回にわたり計2%引き上げられた。今回の利上げは、輸出の増加などで景気拡大が続くユーロ圏のインフレ懸念の払拭が目的だ。

 欧州連合(EU)は、5月発表の春季経済見通しで、07年のユーロ圏の実質GDP成長率を2.6%と予想している。ECBは、景気拡大による賃金上昇圧力や、最近のガソリン価格上昇などに伴うインフレを未然に防止するため利上げに踏み切った。


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