8月第1週(7/29〜8/4) メインテーマ:「路線価2年連続上昇」(最高3つの*)
(1)路線価2年連続上昇(8/2) ***
国税庁が公表した今年(1月1日現在)の路線価(相続税など税金を算定する基準)では、宅地の全国平均が2年連続で上昇し、地価デフレが終息しつつあることが改めて確認された。今回目立った地方中核都市の地価上昇の背景には、不動産投資信託や外資系ファンドなどが、投資対象を首都圏などの都心部から周辺部に広げていることが指摘されている。
都道府県庁所在地の最高路線価の上昇率は、札幌市25.4%、仙台市30.1%、福岡市29.3%と地方経済圏の中核都市で急上昇した。首都圏の優良な不動産が減ったため、デベロッパーや上場不動産投資信託、不動産ファンドなどが、地方圏の一部中心都市で積極的に不動産を取得している。
東京では、丸の内、大手町、銀座、渋谷などで再開発が進み、最高路線価は33.3%上昇するなど、地価上昇は急ピッチだ。大型再開発が続く大阪市や名古屋市の最高路線価もバブル期並みに大きく上昇している。
首都圏では販売価格の上昇でマンションの売れ行きに陰りが出始めている。今年上半期のマンションの平均販売価格は、首都圏では4,645万円で、マイホーム購入の目安とされる年収5年分を超え、平均的なサラリーマンには手が届かなくなりつつある。経済の実態以上に地価が上昇すれば、景気を冷やす恐れもあるとの懸念も出ている。
(1)07年度設備投資計画11%増−大企業調査(8/3) ***
日本政策投資銀行の大企業の設備投資調査によると、07年度投資計画は全産業で前年度実績より11.0%増え、24兆6,878億円となった。10%以上の伸びが見込まれるのは、3年連続だ。好調な世界経済や消費回復を見据え、企業の投資意欲が依然として強いことを裏付けた。
製造業は、前年度実績比13.5%増の10兆3,393臆円と5年連続で2桁の伸びを見込んだ。非製造業は、同9.2%増の14兆3,483億円を見込み、計画ベースでは6年連続の増加となった。
調査は、資本金10億円以上の企業3,543社を対象に6月に実施し、回答率は71.8%だった。
(1)アメリカ住宅ローン焦げ付き、海外にも波及(8/4) ***
ドイツ中堅銀行のIKBドイツ産業銀行は、同社株の38%を保有するドイツ政府系の復興金融公庫(KfW)から支援を受けると発表した。サブプライムローンの焦げ付き問題に絡み、傘下のファンドが損失を出したためだ。サブプライムローン問題が海外の金融機関に波及し始めた。影響が広がっているのは、サブプライムローンの債権を小口に証券化した金融商品が、債券市場で広く取引されている事情がある。
アメリカでは、90年代初頭に多数の貯蓄貸付組合が破綻し、金融危機に陥った。その教訓から銀行が不良債権を抱え込まないように、ローン債権を広く取引できる債券市場を育ててきた経緯がある。しかし、債券が世界中で取引されるため、今回のサブプライムローン問題では、アメリカ国内の特定業種の経営悪化が、瞬時に海外に拡散する側面を浮き彫りにした。
一方、アメリカ国内では、大手と中堅の住宅ローン会社の経営危機が相次いで判明した。保有する住宅ローン担保債券が含み損を抱え、銀行から資金を止められた。住宅ローン会社の破綻は、昨年後半から目立ち始め、今年に入り約50社が破綻したと見られる。こうした状況を受け、ローン会社に融資しているアメリカ国内の大手銀行は、4〜6月期決算で貸し倒れに備えた引当金を積み増すなど、影響が広がっている。