7月第1週(7/1〜7/7) メインテーマ:「景況感、格差拡大−日銀短観」(最高3つの*)
(1)景況感、格差拡大−日銀短観(7/3) ***
日本銀行が6月の企業短期経済観測調査(短観)を発表し、長期金利の上昇やアメリカ経済の減速といった不安材料がある中で、企業経営者が抱く景況感が総じて高水準で推移していることが分かった。しかし、業界ごとの景況感はばらつき、景気はまだら模様だ。
業況判断指数(DI:景気がよいと答えた企業の%から悪いと答えた企業の%を引いた値)は、大企業製造業が23、大企業非製造業が22と、3ヶ月前の前回調査と同じだった。横ばいとはいえ、バブル期以来の高水準だ。しかし、中小企業のDIは、製造業、非製造業とも若干悪化した。
景況感の明暗につながったのが、円安だ。前回調査時点では1ドル=118円台であった円相場は、1ドル=123円台まで急落した。円安で原材料の輸入価格が上昇し、鉄鋼など素材産業は軒並み景況感を悪化させた。また、下請企業が多い中小企業製造業の景況感が悪化したのも、原材料が値上がりしている中で、大企業へ納入価格を引き上げにくいことが影響していると見られる。
一方、円安は電気機械、一般機械などの輸出企業には大きな恩恵を与えた。
(2)一致指数、2ヶ月連続50%超(7/6) ***
内閣府が発表した5月の景気動向指数は、現状を示す一致指数が66.7%となり、景気判断の分かれ目となる50%を2ヶ月連続で上回った。消費関連の指標が好調なためで、内閣府は景気動向指数の基調判断について、「4月の一進一退で推移している」から、「足元は改善を示す水準にあるが、今後の動向を注視していく必要がある」へと、2ヶ月連続で上方修正した。
一致指数は1〜3月に企業の生産部門の悪化を受けて50%を割り込んだが、景気の勢いが横ばいとなる踊り場入りの懸念は薄らいだ形となった。
(1)税源移譲の余波、国保保険料増加も(7/6) **
国から地方への税源移譲と定率減税廃止の影響で、国民健康保険料が大幅に上がる人が出ている。6月から個人住民税が上がった結果、東京23区など住民税をベースに保険料を計算している大都市で、年金生活者など低所得層の負担が増えるケースがあるためだ。
住民税を元に保険料を決める方式は、所得が一定額以下の人から保険料を取らない低所得者対策の意味合いがあったが、この仕組みがあだとなった格好だ。
住民税率は課税所得200万円までの人は税率5%が10%に倍増した反面、200万円超から700万円までの所得の人は10%で変わらないなど、低所得層ほどアップ率が大きかった。このため、低所得層ほど保険料が上がる世帯が続出した。
住民税方式をとる39の自治体は、人口が多く保険料収入も多い自治体が中心で、影響は多くの世帯に広がっている。一方、大半の市町村は、保険料率の算定規準に世帯の所得を採用しており、税源移譲の影響はない。