1月第4週(1/21〜1/27)「円安、国際批判強まる」(最高3つの*)


[アメリカ経済]

(1)アメリカ財政再建、成長頼みに批判の声(1/24) ***

 ブッシュ大統領は、一般教書演説で増税なき財政赤字の解消を強調した。この背景には、減税により景気が浮揚し、財政赤字の半減を06年度に3年前倒しで達成したことへの自信がある。しかし、2012年に財政赤字を解消させる手段として、経済成長に頼る路線にはアメリカ国内からも批判が出ている。来月5日の予算教書で、歳出削減を含む財政再建が打ち出されるか注目される。

 ブッシュ大統領は、就任以来の大型減税が景気回復を後押しして、法人税を中心に増収となったことが赤字削減に大きく貢献したとして、今後も減税政策を中心に据えている。しかし、バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長は、強い経済成長だけでは問題解決にならないとして、ベビーブーマー世代の大量退職を控えて増大が見込まれる社会保障関連費用などの歳出削減を求めている。成長が続くとは限らず、必ず景気後退があるからである。

 アメリカが目指す財政収支の均衡には、国債の利払い費が含まれている。これに対し、日本が2011年度に黒字化を目指すプライマリーバランス(基礎的財政収支)の対象は政策に使う経費で、国債の利払い費は含まない。その分達成のハードルは低い。日本の07年度のプライマリーーバランスは4.4兆円であるが、利払い費を加えると14.1兆円で黒字化はかなり遠いものとなる。累積した国債残高を減らすためには、プライマリーバランスの黒字化だけでは不十分で、利払いを含めた収支を改善させる必要がある。


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[競争政策]

(1)不参入地域の国際カルテル、異例の制裁(1/25) **

 EUの欧州委員会が、東芝や日立製作所など日欧10社に、発電所の送電量を調節するガス絶縁開閉装置(GIS)をめぐるカルテル疑惑で、巨額の制裁金を科す決定を下したことに、対象企業は衝撃を受けている。欧州委員会は、日欧企業が互いに相手の市場に参入せず市場をすみ分ける約束を交わしたとして、これをカルテルと認定した。事業を行っていない地域で法律違反に問われる極めて稀なケースとなるためだ。

 三菱電機の制裁金は約190億円と最高であり、06年3月期の連結税引き後利益の956億円の約5分の1に相当する。このほか、東芝が約140億円、日立が約80億円と巨額に上っており、業績への影響も予想される。


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[為替レート]

(1)円安、国際批判強まる(1/27) ***

 円安に対する批判が、欧州を中心に強まっている。背景には、円安・ユーロ高が欧州の国際競争力を低下させるという危機感がある。円安を招く原因に、日本の超低金利を挙げる声も多い。

 総務省が発表した12月の全国消費者物価指数(CPI)は、前年同月比0.1%の上昇と、上昇率が11月の0.2%より縮小した。原油価格高騰の一服や、デジタル家電全体の価格低下が主な要因とされる。2月の利上げ観測は一段と後退した。円安とその原因であるとされる超低金利が、2月の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で批判の矢面に立たされる可能性も出て来た。

 東京外国為替市場の円相場は、18日の日銀の利上げの見送りをきっかけに、円安に拍車がかかった。26日には対ドルで1ドル=121円台半ば、対ユーロで1ユーロ=157円台前半まで下落した。市場では、G7で円安の是正について何らかの議論が展開されるとの観測が広がった。

 一方、急激な円安は、2月の利上げに意欲を燃やす日銀にとり、追い風となっている面もある。市場では、物価や消費の動きを見れば、追加利上げの正当性を主張するのは難しいとの見方も多い。しかし、円安に対する国際的批判は、早期利上げに向けて政府.与党への地ならしに入った日銀に大きな影響を与えそうだ。


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