1月第3週(1/14〜1/20) メインテーマ:「日銀、利上げ見送りへ」(最高3つの*)


[環境問題]

(1)温暖化ガス削減、家庭・運輸で遅れ(1/15) ***

 日本が京都議定書の温暖化ガス削減目標を達成する上で、家庭・運輸部門の遅れが最大の障害となっている。家庭の05年の排出量は99年比38%増(政府目標6.0%)、運輸部門も18%増加(同5.1%)し、産業界が3%減らした(同8.6%)のと対照的だ。家庭では、情報機器やデジタル家電の普及で電力消費が拡大し、運輸部門も自動車の燃費改善を上回る勢いで台数が増えている。

 こうした状況で期待が集まっているのは、排出権の取得である。途上国の省エネ事業に企業などが投資し、国連に認定されれば、その事業の温暖化ガス削減分を日本の削減量に上乗せできる仕組みだ。省エネの遅れた途上国では、比較的安いコストで大幅な排出削減ができる。産業界でも自主目標の実現が難しいと見られる鉄鋼、電力業界などが排出権取得で達成を目指す方向だ。


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[財政]

(1)財政再建綱渡り、高成長かつ歳出減が条件(1/17) **

 内閣府は、今後5年間の財政健全化の道筋を示す試算を自民党政調審議会に提示し、了承された。基本シナリオは、高めの経済成長を前提とした。しかし、名目成長率が2%台だったり、歳出削減の手を緩める場合には、政府の財政再建目標が達成できないとしている。高成長が続くかどうかは不透明で、厳しい財政事情も示した格好だ。

 内閣府の試算は、政府の今後5年間の新中期方針「日本経済の進路と戦略」に盛りこまれ、18日の経済財政諮問会議で正式決定する見通しだ。試算は、名目成長率が4%程度の場合と2%程度の場合に分け、借金に頼らず政策に使う経費を賄えるかどうか示す基礎的財政収支(プライマリーバランス)などがどうなるか試算した。それぞれ、今後5年間の歳出削減額が、政府・与党が決めた上限の14.3兆円の場合と下限の1.4兆円の場合に分け、合計4通りの組合せで計算した。

 政府の基本シナリオは、成長が高く、歳出削減額が多いケースだ。この場合、国と地方の基礎的財政収支は、11年度に1.6兆円の黒字となり目標を達成する。ただ、4通りの試算のうち、目標を達成できるのはこの試算だけだ。しかし、思惑通りに高成長を実現できる保証はない。名目成長率が2%程度の場合には、2.4〜2.6兆円の赤字となり、1〜2%程度の消費税増税が必要となる。

 基礎的財政収支の黒字化が展望できた場合でも、債務残高の対GDP比の引下げなど、新財政再建の数値目標設定が今後の大きな課題となる。


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[金融市場]

(1)日銀、利上げ見送りへ(1/18) ***

 日本銀行が、金融政策決定会合で追加利上げを見送る方向になったのは、景気の先行きには自信を深めているが、個人消費や物価の先行きに確信が持てず、慎重論が強まったためだ。政府・与党の反対を背景に、利上げが見送られたのは、日銀が政治の圧力に屈したマイナスイメージが残り、市場の信認が低下する恐れが残る。

 利上げすれば、日銀の悲願である金利の正常化を前進させることができる。景気が減速した場合に、利下げで景気を刺激する余地が広がる。ゼロ金利解除まで約5年に渡り、日銀は金利の上げ下げで経済を動かす本来の金融政策を封じられてきた。

 政策委員の間では、消費や物価の先行きを見極めるため、利上げは来月以降に見送る方が得策だとする意見が次第に強まっていったと見られる。 昨年の7〜9月期のGDP統計では、個人消費が2四半期ぶりにマイナスに転じた。そのため、昨年12月の前回会合で利上げを見送っている。その後、個人消費の回復を裏付ける明確な指標は出ていない。物価も、昨年11月の全国消費者物価指数上昇率は、前年同月比0.2%となおゼロ近辺に張り付いている。

 日銀は、来月以降再び利上げの判断を迫られる。2月以降は、さらにタイミングが難しくなるデメリットもある。1月を逃すと、4月の統一地方選、7月の参院選という大きな政治日程を控え、秋以降まで利上げは先送りとなるとの指摘もある。


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[為替レート]

(1)円安進み121円台、株9ヶ月ぶり高値(1/19) ***

 東京外国為替市場の円相場は、利上げ見送りにより大幅に円安が進んだ。18日、円は一時1ドル=121円台となり、1年1ヶ月ぶりの水準まで下落した。円は、対ユーロでも大幅に売られ、1ユーロ=157円で取引を終えた。

 株式市場は、利上げ見送りを歓迎し、日経平均株価は1万7,370円と大幅続伸して、約9ヶ月ぶりの高値水準となった。近く、昨年来高値を更新するとの見方も出ている。


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[エネルギー資源]

(1)NY原油50ドル割れ(1/20) ***

 原油価格の下落が続いている。18日のニューヨーク商業取引所の原油先物相場で、代表的指標であるテキサス産軽質油(WTI)の2月渡し価格は、一時、約1年8ヶ月ぶりに1バレル=50ドルを割り込んだ。暖冬で原油在庫が増え、投機資金が他市場へ移動したためと見られる。ただ、北米でガソリン需要がピークを迎える夏場に向けて、原油価格が再び上昇に転じるとの見方もあり、今後も一本調子で価格が下落するかは不透明である。

 価格維持に向け減産を進めるはずの石油輸出国機構(OPEC)も、減産合意を無視する国が出て、実際の生産量が合意された生産量を上回っている。需給両面で、価格下落の要因がそろった形だ。

 原油価格は、史上最高値の77.03ドルを付けた昨年7月から半年で3分の2まで下げた。原油価格が年間で1バレル当たり10ドル下がれば、実質GDPを0.5%程度押し上げるとの試算もあり、減速が懸念されたアメリカ経済には恩恵となっている。

 しかし、中長期的にも、世界第2位の原油消費国である中国などの新興国を中心に原油需要は増す見通しで、原油高の大きな流れが反転するとの見方は多くない。


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