1月第2週(1/7〜1/13)「還暦の団塊の世代に期待する−社会保障の転換点」(最高3つの*)


[賃金・雇用情勢]

(1)賃上げ抑制批判に反論(1/10) **

 経団連の御手洗会長は、個人消費が振るわない理由について、「基本的に不況が長く続いたため消費者心理が慎重になっていることがある。定率減税の縮減なども影響している」と述べた。さらに「現実に給料は上がっている。ボーナスは最高記録を達成し、パート労働者の時間給も着実に増えている」との認識を強調し、「賃金の伸び悩みが消費不振の原因」との見方が出ていることに反論した。

 また、一定以上の所得の事務職らを法定労働時間規制から外す「ホワイトカラーエグゼンプション」制のための労働基準法改正案が、25日からの通常国会への提出が見送られる公算が大きくなったことについて、「多様な働き方の一つとして、是非承認してもらいたい」と述べ、導入を求めた。


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[景気動向]

(1)11月の一致指数、ちょうど50%(1/12) ***

 内閣府によると、06年11月の景気動向指数(速報値)は、一致指数が景気判断の分かれ目となる50%まで2ヶ月ぶりに低下した。ただ、生産関連の指標は過去最高の更新が相次いでいることから、内閣府は「一致指数は改善を示す水準にある」との基調判断を17ヶ月連続で据え置き、景気回復は続いているとの認識を示した。02年2月に始まった現在の回復期が06年11月まで続き、戦後最長の58ヶ月となったことが統計面で再確認された。

 一方、半年程度先の景気を示す先行指数は20.0%と、2ヶ月ぶりに50%を割り込み、市場関係者の間では今年前半の景気減速を懸念する声も出ている。


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[社会保障制度]

(1)還暦の団塊世代に期待するー社会保障の転換点(1/7) ***

 社会保障制度の転換点となる年が幕を開けた。直面する状況は、2007年問題である.。1947年から49年に生まれた団塊の世代が、還暦を迎え、退職年齢に達し始める。第一次ベビーブームだった当時は、毎年約270万人が生まれた。現在の2.5倍だ。年金など今まで社会保障制度を支えてきた人たちが、今後続々と支えられる側に回る。現行のままでは、年金、医療、介護も、財政的に立ち行かなくなる。

 60代に入っても、多くの人はまだまだ健康だ。団塊の世代が60歳で一斉に第一線を退いてしまえば、経験や技術の継承がうまくいかず、日本経済にも損失が大きい。高年齢者雇用安定法により、企業に定年の段階的引上げなどが義務付けられた。着実に取り組むべきだ。

 07年度予算案では、社会保障費は21兆円を超え、一般歳出の45%を占めた。年金、医療、介護などを合わせた給付の総額は90兆円になる。そして、団塊の世代が全員75歳を超える頃、25年の給付総額は141兆円まで膨らむと厚生労働省は予測している。そのとき、一人の高齢者(65歳以上)を支える現役世代(15〜64歳)の数は、現在の3.1人から1.9人へと減少する。現役世代の負担に大きく頼る現行の社会保障制度では、いずれ高齢者を支えきれない。 年齢を問わず、広く薄く福祉財源を負担しあう以外にない。消費税率の引上げが避けられないことは明白だ。仮に、税率を欧州諸国の最低水準である15%にするとしたら、引き上げは段階的に行う必要がある。このような議論は、ただちに始めなければ間に合わない。


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[外国為替市場]

(1)人民元上昇、香港ドル超える(1/12) ***

 11日の上海外国為替市場での人民元相場は、対ドルレートが1ドル=7.7949元で取引を終え、一昨年7月の人民元切り上げ後、初めて7.7元台まで元高が進んだ。ドルに連動している香港ドルとの交換レートも、同日終値で0.99961元となり、初めて1元の価値が1香港ドルを上回った。  人民元は、05年7月にアメリカドルに対し約2.1%切り上げられて、1ドル=8.1100元となった後、06年5月に初めて1ドル=8元を突破し、その後も緩やかな上昇を続けていた。香港ドルの価値を上回るかどうかは、8元に続く二つ目の心理的なハードルといわれていた。市場では元の先高観が出たと受け止められている。


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