2月第5週(2/25〜3/3)「需給ギャップ、プラス転換、デフレ脱却宣言は慎重」(最高3つの*)


[景気動向]

(1)需給ギャップ、プラス転換、デフレ脱却宣言は慎重(2/27) ***

 日本経済全体の需要と供給能力の差を示すGDPギャップ(需給ギャップ)が06年10〜12月期に9年9か月ぶりにプラスとなったことは、デフレ脱却に向けた一歩前進といえる。ただ、需給ギャップのプラス転換は、7〜9月期の落ち込みの反動で増加した要因が大きい。政府は、デフレ脱却宣言については、引き続き慎重に判断する方針だ。

 需給ギャップのプラス転換は、日本経済の基礎体力が回復し、自立的に物価が上昇していく通常の経済に戻りつつあることを意味する。

 政府はデフレ脱却を「物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないこと」と定義し、需給ギャップなど4指標を中心に総合的に判断するとしている。

 4指標のうち、06年12月の全国消費者物価指数は前年同月比0.1%上昇と伸びが縮小し、数ヵ月後にマイナスに転じるとの見方もある。物価動向を総合的に示すGDPデフレーターもマイナスのままだ。一定量のモノを作るのに必要な人件費を示す単位労働コストも、依然マイナスのままだ。そして、06年12月の現金給与総額は前年比0.1%減と、4ヶ月ぶりに前年実績を下回るなど、賃金の伸び悩みも続いている。


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[物価動向]

(1)消費者物価上昇止まる、賃金の伸び低く(3/3) ***

 総務省によると、1月の全国消費者物価指数(CPI)が前年同月比で横ばいとなり、8ヶ月ぶりに伸び率がゼロとなった。緩やかな景気回復が続いているのにもかかわらず、物価が上昇しにくい状況を示した。賃金の伸び悩みで個人消費は弱含みが続いており、政府が目標とする06年度中のデフレ脱却宣言は、困難な情勢だ。

 CPIが横ばいになったのは、原油価格が06年7月のピークから下落し、ガソリンなどの石油製品が値下がりしたためである。

 内閣府は、デフレ脱却について、CPI、GDPデフレーター、需給ギャップ、単位労働コストなどの4指標を中心に総合的に判断するとしている。日本経済全体の需給ギャップは、06年10〜12月期に約10年ぶりにプラスとなった。しかし、GDPデフレーターはマイナスのままだ。

 物価上昇の鍵を握るのは、賃金の上昇により個人消費が活性化することだ。しかし、1月の現金給与総額が前年同月比1.4%減と、2ヶ月連続で前年実績を割り込み、賃金の伸びの鈍化が鮮明になっている。雇用の改善が賃金や物価の上昇につながり、デフレ脱却宣言の条件が整うのは、今年末以降になるとの見方も強い。


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