2月第3週(2/11〜2/17)「GDP高成長、個人消費力強さ欠く」(最高3つの*)
(1)経常収支黒字過去最高の19兆8,390億円(2/15) ***
財務省が発表した2006年の国際収支(速報)によると、物やサービスの取引を示す経常収支黒字は、前年比8.7%増の19兆8,350億円となり、過去最高を記録した。
物の取引を示す貿易収支黒字は、原油高による輸入増加のため8.5%減の9兆4,596億円と2年連続で縮小した。一方、海外子会社の収益や海外株式の配当を示す所得収支の黒字は、20.8%増の13兆7,449億円と、4年連続で拡大し過去最高となった。所得収支の黒字が貿易収支黒字を上回るのは2年連続で、経常収支黒字は輸出中心から海外への投資で収益を稼ぐ構造へと変化していることを改めて印象づけた。
(1)GDP高成長、個人消費力強さ欠く(2/16) ***
06年10〜12月期の実質GDP成長率が、年率換算で4.8%増と予想を大幅に上回った。個人消費が3年ぶりの高い伸びになったためだ。ただ、消費の回復が本物かどうか懐疑的な見方も多く、利上げに踏み切るかどうか日銀は難しい判断を迫られそうだ。
個人消費の伸びは、天候不順などで落ち込んだ7〜9月期(1.1%減)の反動による増加という側面も強い。消費の実額ベースで見ると、10〜12月期は305兆6,931億円で、4〜6月期(305兆6,875)の水準に並んでいる。7〜9月期のマイナス分を取り戻したに過ぎない。
個人消費が力強さを欠く最大の要因は、賃金の伸び悩みだ。10〜12月期の雇用者報酬は、名目で前年同期比1.1%増となったが、雇用者数の増加が原因で一人当たりの賃金はマイナスで、所得の増加で多くの人が財布の紐を緩める状況にはないようだ。一方、企業設備投資は、2.2%増と7〜9月期を上回り、引き続き好調だ。
(1)温室ガス排出権、獲得加速(2/12) **
京都議定書で温室効果ガスの削減を義務付ける約束期間(2008〜2012年)の開始を来年に控え、途上国などで生じた温室効果ガス排出権(相手国の温室効果ガスの削減量の一部を、実施国の削減量とみなせる権利)を獲得するための民間主導プロジェクトが、この半年間で倍増していることが経済産業省のまとめで分かった。政府が承認し獲得できる排出権は、年間5,000万トンを超える予定という。国内全体では、08年から12年の間に年間1億トンの排出権が必要になるとの見方があり、来年にかけさらに排出権獲得に向けた動きが活発化しそうだ。
倍増した理由は、約束期間を前に水面下で動いていた計画が続々と決まったことがあると見られる。プロジェクトを推進している企業は、自主目標達成を狙う大手電力会社や、将来的な需要を見込んだ大手商社などで、中国やブラジルでの発電事業などに参加し、排出権獲得を目指している。