2月第2週(2/4〜2/10)「中国私有財産を保護、不可侵法に明記」 (最高3つの*)
(1)中国私有財産を保護、不可侵法に明記(2/4) ***
3月に開かれる中国の第10期全国人民代表大会(=国会)で、私有財産保護を明記した物権法案が成立する見通しとなった。歴史的に「財産は公有」を国是として、公権力が強い中国で、私有財産保護に関する法律ができれば、民間企業や外国資本の経済活動が一段と自由になるのは間違いない。
同法案の最大の特徴は、私有財産について不可侵の原則を確立することだ。現行憲法では、私有財産保護は合法的なものに限っている。今後、私有財産は、国有、公有財産と同じ地位を占め、公権力の乱用による恣意的な没収、収容などの財産侵害が禁じられることになる。
中国に進出する外国企業も、土地が公有であることを理由に地方政府が立ち退きを要求するなどのトラブルが出ており、同法は外資にとっても重要な意味を持つ。また、GDPの65%を占める私営企業など民間経済の長期投資に関する不安感が薄れるといえる。
中国では、現在、地方政府がわずかな補償で土地を収用して暴利を得る行為が日常化しており、民衆の激しい反発を招いている。05年に8万7000件発生した民衆騒動の多くも公権力の侵犯が原因だ。
同法は、市場経済の基本法というべきもので、成立後、不動産登記や土地収用などの関連法規、実施細則が整備されていくものと見られる。
(1)円安めぐり揺れる市場(2/8) **
9日に開幕するG7を前に、円安を警戒する欧州勢と、あまり問題視しないアメリカとの思惑の違いが表面化し、外国為替市場が揺れている。G7終了までは神経質な展開が続きそうだ。
7日の東京外国為替市場も、G7で円安是正に向けた議論が行われるとの見方から、円高が進み、朝方に、約1ヶ月ぶりの円高水準となる1ドル=120円ちょうどまで上昇した。その後、ヘンリー米財務長官が、下院公聴会で現在の円安水準は日米欧経済実態を反映しているとの認識を示したことを材料に、円を売りドルを買い戻す動きが徐々に広がった。
(1)夕張市再建、あくまで自助努力が第一(2/9) **
財政破綻した夕張市が、国の管理下で再建を進める財政再建団体となる。財政をいかに立て直すか、財政悪化している多くの他の自治体が夕張市を注目している。
解消すべき赤字は353億円で、18年間で財政再建を達成するという。北海道は、夕張市の借金を全額、肩代わりし、夕張市に低利で貸し付ける。道が市場金利との差額を負担し、夕張市は金利の変動に左右されず借金を返済できる。国は、道の金利負担の支援などを検討している。しかし、自治体が自ら招いた財政破綻の後始末を国や都道府県が安易に手助けすることになっては、自治体の財政規律が緩み、財政悪化を助長しかねない。
夕張市は、地域経済を支えてきた炭鉱の閉鎖による人口減と税収減という苦境を打開するため、資金を借り入れ観光事業に多額の投資を続けた。職員削減などの改革を怠り、職員数は同程度の自治体の約2倍だ。そのため、職員を半数以下に削減し、一般職員の給与も3割削減する予定である。市民生活に必要な最小限の事業以外は原則禁止だ。市民税、固定資産税、下水道使用料などの住民の負担は大幅に増える。住民には厳しい内容だが、やむを得まい。
夕張史の財政破綻の要因には、財政悪化を隠蔽する会計処理があり、それを議会も住民もチェックできなかったことにある。
政府が今国会に提出する予定の「地方公共団体財政健全化法案」(仮称)は、早期是正が柱の一つとなっている。財政が悪化した自治体は、自ら財政健全化計画を策定し、議会の議決を経て住民に公表することを義務付ける。現行の制度では、夕張のような深刻な事態になるまで、国は手を打つことは出来ない。そのため、自治体の破綻を未然に防ぐ手立てが早急に必要である。
(1)EU排ガス規制、国内車メーカー衝撃(2/9) ***
欧州連合(EU)が、域内で自動車を販売するメーカーに、CO2の排出量を95年比で35%削減するように義務付ける方針を発表したことに、日本の大手自動車メーカーは衝撃を受けている。新規基準達成には資金力や技術力が必要で、国内外のメーカーを巻き込んだ新たな提携の呼び水になるとの見方も出ている。
7日に発表された新基準は、2012年までにCO2排出量を平均で走行1キロメートル当たり130グラムまで減らし、タイヤの改良などでさらに10グラム減らすように求めている。日本車の欧州での実績は170グラム(04年、新車)と、欧米車の161グラムに遅れをとっている。
日本勢も巻き返しに出ている。ホンダは、世界最高レベルの排ガス浄化性能を持つ新形ディ−ゼルエンジンの開発にメドをつけた。トヨタは、昨年11月にディ−ゼルエンジンに強いいすゞ自動車と資本提携し、日産自動車もフランス・ルノーからディ−-ゼルエンジンを調達する計画だ。
今後は、新基準達成のため開発競争が激化しそうだ。体力勝負となる側面が強く、開発競争を核にメーカー同士の提携が進む可能性がある。