12月第4週(12/16〜12/22)(最高3つの*)

メインテーマ: 「個人金融資産1,535兆円」
その他のテーマ: 「08年度予算、やり繰りは限界に来た」
「独法改革、路線転換」

[財政]

(1)08年度予算、やり繰りはもう限界に来た(12/21) ***

 2008年度予算の財務省原案が内示された。一般会計の総額は、今年度をわずかに上回る83.1兆円だ。

 歳入不足を補う国債の発行額は25.3兆円と横ばいで、ここ数年続いた大幅削減はかなわなかった。この結果、財政の健全度を示す基礎的財政収支の赤字額は、5.2兆円と、今年度の4.4兆円から悪化してしまう。政府は、同収支を11年度に黒字にすることを目標にしているが、社会保障、教育や科学技術など、予算を充実させなければならない分野もある。

 この矛盾の解決には、歳入を増やすしかない。消費税率の引き上げで財源を作り、財政を立て直しながら社会保障などに重点配分しなければならない。

 歳入不足の中、何とか財源をひねり出そうと、その場しのぎの策に終始したのが今回の予算編成の特徴といえる。たとえば、地方財政では、地方交付税を確保するため、交付税特別会計が抱える債務の返済を中止し、財源を工面した。借金の返済先送りとは安易過ぎないか。

 予算編成の過程では、霞ヶ関埋蔵金が話題になった。特別会計に含まれている剰余金のことを埋蔵金に例えた問題である。自民党の反増税派は、剰余金を活用すれば消費税率の引き上げを回避できると主張さした。一方、財政再建派は、剰余金には限界があり、これに頼っていては道を誤ると批判した。結局、来年度予算では、外国為替特別会計から1.8兆円が税外収入に繰り入れられ、新規国債発行額を減らすのに役立った。財政投融資特会から、9.8兆円を国債の償還に使うことも決まった。ただ、埋蔵金に頼りすぎると、規律が緩み財政再建など不可能になる。


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(2)独法改革、路線転換(12/22) **

 政府が取り組んできた独立行政法人に関する整理合理化計画の策定作業は、積み残しとなっていた都市再生機構、住宅金融支援機構について、福田首相の最終判断で2〜3年後に結論を先送りし、決着した。安部前首相が描いたゼロベースの見直しからは程遠く、改革路線からの転換を印象付ける結果となった。

 公務員制度改革を金看板とした安部前首相には、渡辺行革相とのコンビで、公務員OBの天下りの受け皿である独法にもメスを入れることで官僚機構を抵抗勢力とし、政権浮揚を図る思惑もあった。

 福田政権でも、独法改革そのものは引き継がれた。しかし、最終的に、見直し対象101法人中16法人を削減し、85法人とする計画案をまとめたが、首相裁定に持ち込まれた国交省所管の2法人について、都市再生機構は組織形態を検討し3年後に結論を得るとし、住宅金融支援機構は特殊会社化を含め検討し2年後の結論を得るとの方針で決着した。職員や資産規模が大きく財政支出が1,000億円を超える、独法改革の本丸と見られた両法人の先送りは、当初方針からの後退を印象付けた。

 整理合理化計画では、101法人の342事業のうち、222事業を見直すとしている。また、20法人の29事業に官民の競争入札で業務の担い手を決める市場化テストを新たに導入する。今後は、こうした見直しを予算や職員数の面でスリム化につなげられるかどうかが焦点となる。


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[金融市場]

(1)個人金融資産1,535兆円(12/18) ***

 日本の個人(家計部門)が持つ金融資産の残高が、今年9月末で1,535兆円と引き続き高水準にあったことが、日本銀行の7〜9月の資金循環統計で分かった。サブプライムローン問題に伴う株価下落の影響で6月末より20兆円減ったものの、残高は過去3番目に多かった。

 内訳を見ると、現金・預金が770兆円で最も多い。ついで、保険・年金準備金405兆円、株式・出資金173兆円、投資信託76兆円、国債や社債などの債券44兆円と続く。 国民一人当たりの金融資産は、1,200万円になる。一般庶民の実感とかけ離れているのは、負債を差し引いていない上、多くの金融資産を持つ富裕層もいるからだ。総務省の家計調査によると、負債残高を差し引いた純貯蓄額(04年度)は、30歳未満の世帯で53万円、60歳以上の世帯では2,029万円だった。

 個人の金融資産の多様化は、数字の変化から見て取れる。02年末に6.2%だった株式・出資金の構成比は今年9月末で11.3%と倍になり、投資信託も2.1%から5.0%に上昇した。一方、現金・預金の構成比は56.5%から50.2%に低下している。日銀は、貯蓄から投資への流れが読み取れると分析している。

 アメリカと比較すると、日本ではほぼ半分の現金・預金はアメリカでは13%程度だ。逆に、アメリカで3割を超す株式・出資金は日本では1割程度と対照的だ。投資信託の割合も、アメリカでは14%を超える。


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