12月第2週(12/2〜12/8)(最高3つの*)
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「イギリス0.25%利下げ」 |
(1)法人事業税、東京から地方に3,000億円(12/3) **
政府・与党は、地方自治体の税収格差対策について、東京都から3,000億円程度の法人事業税を地方に移す方針を固めた。東京都側とほぼ合意した。今後、愛知県や大阪府とも調整し、都市部から地方に移す総額は、4,000億円程度になる見通しだ。しかし、この税収再配分を08年度限りとするか、2年以上続けるかについてはまとまっておらず、さらに調整する。
地方自治体の税収格差是正を巡っては、総務省や全国知事会などの地方団体が、消費税5%のうち1%を地方に回している地方消費税の配分引き上げを求めていた。しかし、増田総務相は、税制の抜本改革が先送りされたのを受け、08年度税制改正では地方消費税の見直しをせず、法人事業税の再配分にとどまることはやむをえないとの考えを示した。
(2)道路財源改革(12/8) ***
政府・与党が、道路特定財源の見直しで最終合意した。総額65兆円とはじいていた今後10年間の道路整備計画に必要な費用を、59兆円に下方修正した。
この結果、使い切るとされていた道路特定財源から、一般財源に回せる分が増える。しかし、来年度予算での一般財源化は、今年度をわずかに上回る1,900億円程度にとどまる見通しだ。これでは不十分だ。全国的にかなり道路整備が進み、道路財源に余剰が生じているのが実態だ。昨年度までは、旧本州四国連絡橋公団の借金返済用に、毎年約5,000億円を回していた。そして、踏み切りの改善など、道路関連事業にもかなりの額を使ってきた。これらを考えると、道路整備は59兆円よりも少なくて済むはずだ。一般財源化も、さらに進めるべきだ。
今回の合意では、自治体の道路工事への国の補助率の拡大や、無利子融資制度の新設などが盛り込まれた。来るべき総選挙を意識した地方対策の意味合いが強い。また、高速道路料金の引き下げにも、2.5兆円をつぎ込む。しかし、旧道路関係4公団の借金が40兆円あり、税金投入は借金返済の期間短縮に使うべきだ。 税率を本則の2倍程度に引き上げている暫定税率は、来春相次いで期限切れとなる。合意では、暫定税率を今後10年間継続させることが決まった。暫定税率を廃止すれば、3兆円近い税収減となり、予算に大穴が開き税率維持は当然だ。 民主党は、暫定税率の廃止や、自動車重量税、自動車取得税の減額や廃止などを主張している。これによる税収不足分を同手当てするのか。民主党は参院第1党として、具体策を示す責任がある。
(1)タクシー値上げ(12/5)
東京や横浜などの大半のタクシー運賃が10年ぶりに値上げされた。東京地区は初乗り2キロまでの運賃の上限が660円から710円に上がった。距離ごとの加算料金も80円から90円になった。平均7.2%の値上げだ。
10日には千葉や埼玉、17日には札幌などでも値上げが続く。昨夏以降に申請した全国52地区のうち、年内に43地区で運賃が値上げとなる。
運転手の待遇改善が主な理由という。小泉政権下で2002年に、タクシーの参入制限が撤廃され、各地で参入や増車が相次いだ。そのため、05年度の1台当たりの営業収入は、規制緩和前の01年度よりも5.2%も減った。昨年の運転手の年収は、全産業平均より226万円も低い。水揚げを増やそうとする運転手の無謀運転などに対し、利用者の苦情が増え続けている。これに対し、値上げはやむをえないという見方が多い。
しかし、値上げによる客離れ食い止められなければ、運転手の待遇改善も絵に書いた餅だ。確実に増収を図るには、福祉タクシーなど多種多様なサービスを充実させていく必要がある。
値上げを了承した政府の物価問題関係閣僚会議は、業界の合理化や運賃制度の見直しを求めた。今のタクシー運賃は、人件費や燃料費などのコストに一定の利潤を上乗せする総括原価方式で決められる。コストが増えると国が値上げを認めてくれるため、業界は効率的な経営を怠りがちだ。国が認可する公共料金には、今後の合理化や技術革新によるコスト低下を織り込んで決めているものもある。
行政と業界が経営の効率化に知恵を絞り合うべきだ。利用者にツケを回すのは、今回で最後にしてもらいたい。
(2)公取委要請、国際航空運賃を独禁法の適用対象に(12/6) **
公正取引委員会は、国際航空運賃を業界団体が協議して決める現在の手法について、航空法を改正して独禁法の適用除外対象から外すように、国土交通省に申し入れた。ただ、公取委の申し入れに拘束力はなく、国交省は消極的姿勢を示している。
国際航空運賃は、世界の航空会社が加盟する国際航空運送協会(IATA)の協議で決められている。公取委はこれをカルテルとみなしているが、日本では航空法で認められており、独禁法違反にならない。
一方で、最近は、各国で航空会社がIATAの普通運賃とは別に自社の割引運賃を設定するケースが増えているほか、IATAに加盟せずに低価格を売り物にする新規航空会社も出てきた。このため、欧州連合(EU)は、11月に国際航空運賃を独禁法の適用除外から外しており、豪州も来年7月に追随する見通しだ。
しかし、値上げによる客離れ食い止められなければ、運転手の待遇改善も絵に書いた餅だ。確実に増収を図るには、福祉タクシーなど多種多様なサービスを充実させていく必要がある。
値上げを了承した政府の物価問題関係閣僚会議は、業界の合理化や運賃制度の見直しを求めた。今のタクシー運賃は、人件費や燃料費などのコストに一定の利潤を上乗せする総括原価方式で決められる。コストが増えると国が値上げを認めてくれるため、業界は効率的な経営を怠りがちだ。国が認可する公共料金には、今後の合理化や技術革新によるコスト低下を織り込んで決めているものもある。
行政と業界が経営の効率化に知恵を絞り合うべきだ。利用者にツケを回すのは、今回で最後にしてもらいたい。
(1)イギリス0.25%利下げ(12/7) ***
イギリス中央銀行のイングランド銀行は、金融政策委員会を開き、政策金利を現行の年5.75%から0.25%引き下げ、年5.50%とすることを決め、即日実施した。利下げは、2年4ヶ月ぶりである。成長が減速する兆候が見られ、先行き景況感の悪化で消費の減速が見込まれるためである。
金融市場の混乱で、景気の先行きに不透明感が強まってきたことや、成長を先導してきた不動産市場が冷え込む兆候があることを重視したと見られる。
一方、欧州中央銀行(ECB)は、ユーロ圏13カ国の主要政策金利を現行の年4%で据え置くことを決めた。政策金利の据え置きは6ヶ月連続となる。ユーロ圏は、インフレ懸念がある一方で、サブプライム問題を受けた景気減速への心配も高まっている。
(1)中国金融引き締め強化(12/6) ***
中国共産党と国務院(中央政府)は、来年の経済運営の基本方針を決める「中央経済工作会議」を開き、景気の過熱とインフレを防止するため、従来の穏健な金融政策から引き締め政策へ転換することを決めた。
今後は行き過ぎた投資や物価の上昇を抑えるため、金融機関に対して融資の抑制などの行政指導を強化することや、人民元の上昇ペースの引き上げなどが検討される可能性が強い。
中国は、03年から4年連続で10%を超える成長が続いており。消費者物価指数の上昇率も10月に6.5%に達するなど、インフレ懸念が強まっている。 中国人民銀行は、今年、金利を5回、預金準備率を9回引き上げるなどの金融引き締め策を行ってきたが、効果が上がっていない。このため、97年から掲げてきた穏健な金融政策路線を明確に転換し、金融引き締めなどを一段と強化する方針だ。