8月第4週(8/19〜8/25) メインテーマ:「ジニ係数0.5超と最大に」(最高3つの*)
その他のテーマ:「対インドネシアEPA」
(1)対インドネシアEPA(8/21) **
安倍首相とインドネシアのユドヨノ大統領が署名した両国の経済連携協定(EPA)
は、エネルギー・鉱物資源の安定供給に関する条項を盛り込んだのが大きな特徴だ。ただ、液化天然ガス(LNG)の日本の最大の輸入先であるインドネシアは、LNGの対日輸出量を大幅削減する方針で、EPAがこれを阻止するのは力不足と見られる。将来にわたる安定供給を確保するには、インドネシアが求める日本からの直接投資の拡大が大きなカギを握りそうだ。
EPAは、両国間の関税を相互に撤廃することや、インドネシアから看護士などの労働者受け入れを盛り込んだが、日本にとり特に重要なのはエネルギー・鉱物資源の安定供給に関する条項だ。日本は、LNG輸入の22%をインドネシアに依存している。エネルギー条項は、
などを盛り込んだ。これにより、インドネシアが、日本の企業のエネルギー関連投資に恣意的な圧力を掛けたり、突然、日本向けのLNG輸出を規制したりすることに、一定の歯止め効果が期待できる。来月の臨時国会でEPAが承認されれば、年明けにも発効する見通しだ。@ 輸出許可手続きや投資環境の透明性の確保
A 輸出規制を行う際は事前に通告
B 両国間でエネルギー安全保障などを協議する小委員会の設置
しかし、EPAが日本のエネルギー安定確保にどこまで役立つかは不透明で、インドネシアは現在、対日のLNGの輸出量を大幅に削減する方針を打ち出している。経済発展で自国のエネルギー不足が深刻になり、国内需要への対応を優先させたいためだ。日本への供給は約4分の1に激減させる考えを示すなど、見通しは明るくない。
ユドヨノ大統領は、日本からの投資拡大に期待を表明し、直接投資拡大と引き換えに、LNGの安定供給に協力する考えを示した。これに呼応するかのように、経団連の御手洗会長が、今後5年間で石油・ガス、自動車などの分野で、日本から8,000億円の投資が見込まれることを明らかにした。
インドネシアへの直接投資は、累計では日本が一番多いが、97年のアジア通貨危機以降は低迷を続けている。同国からのLNG安定供給を確保するには、EPAだけではなく直接投資を拡大し経済全体で関係を緊密にすることが必要である。
(1)ジニ係数0.5超と最大に(8/25) ***
厚生労働省は、世帯ごとの所得格差の大きさを表す05年のジニ係数が0.5623で、過去最大になったと発表した(「05年所得再分配調査」)。同省は、一般的に所得が少ない高齢者世帯の増加が主な要因と見ているが、非正規社員と正規社員の所得格差などが影響している可能性も否定できないとしており、臨時国会では格差問題をめぐる議論が活発化しそうだ。
同調査は3年ごとに実施されており、ジニ係数は0〜1の間の数字で表され、格差が大きいほど1に近づく。今回の調査では、ジニ係数は前回を0.028上回り、初めて0.5を超えた。例えば、全体の25%の世帯が所得総額の75%を占めた場合に、ジニ係数は0.5となる。
公的年金など若い世代から保険料を徴収し、高齢者に配分する社会保障の効果を加えると、ジニ係数は0.3873で前回を0.0061上回って過去最高だった。ただ、前回、前々回とほぼ同水準であるため、厚労省は社会保障の効果も加味すれば格差に大きな変化はないともいえるとしている。