4月第4週(4/22〜4/28)「中小企業、廃業止まらず」(最高3つの*)


[金融]

(1)2007電子マネー元年(4/24) **

 端末にカードをかざすだけで支払いが済む電子マネーが急拡大している。セブン&アイ・ホールディングスは、大手流通で初の電子マネー「nananko(ナナコ)」のサービスを始めた。イオンも「waon(ワオン)」で後を追う。迎え撃つのは、JR東日本系の「スイカ」、私鉄・バス系の「パスモ」とソニー系の「エディ」だ。電子マネー元年といわれる今年、各陣営の顧客の囲い込み争いが激しさを増している。

 大手流通が電子マネーに参入する最大の狙いは、顧客の囲い込みにある。その際の最大の武器が、ポイント制だ。ナナコは、100円の買い物につき1円分(1%)のポイントがつくのが特徴で、実質的な値引きとなる。コンビニ利用客は男性が7割を占め、主婦や高齢層を取りこぼしているとされる。セブンは、ポイントを武器に新たな客層を引き込む狙いだ。セブンにとってはポイント付与は負担だが、売り上げアップ効果を優先させた。

 また、電子マネーの利点には、顧客情報を詳しく把握できることもある。ナナコの入会申し込み時には、氏名、年齢、性別、職業など個人情報を記入する。この情報を分析し、消費者の好みに合わせ、無駄のない品揃えや出店計画に生かすことができる。  23日、都内のセブンイレブンでナナコのサービス開始式が行われた。都内のセブンイレブン約1,500店を手始めに、5月中には全国約1万1,700店に広げる。今秋以降、イトーヨーカドー(180店)やデニーズ(586店)でも利用できるようにするほか、カード大手のJCBの加盟店にも導入を働きかけ、09年春には全国約6万店以上の利用を見込む。

 国内の電子マネー市場は、06年度の1,800億円から07年度には6,900億円に一気に拡大し、11年度には2兆8,000億円まで広がるとみられる。


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[景気動向]

(1)中小企業、廃業止まらず(4/25) ***

 政府は、07年度版の中小企業白書を発表した。それによると、中小企業の業績回復が大企業に比べ遅れており、その原因として、大企業が下請けに一方的な価格を押し付けるなど下請けいじめの実態が挙げられる。契約の明確化など、取引条件の改善を進める必要性を指摘している。

 白書によると、中小企業の開業率が過去5年間、廃業率を2.5%程度下回っており、事業所の減少に歯止めがかかっていない。

 中小企業の業績が上向かない原因としては、納入先の大企業が価格決定権を握る事例が多いという点である。

 大企業が価格決定権を離さない背景には、家電製品やIT機器を始め、完成品の価格で中国・東南アジアとの競争が激しいことがある。家電メーカーから見れば、完成品の価格を上げられない以上、中小企業からの買入価格を上げられないのである。

 白書は、一方的な価格決定に対して、製品の差別化や販売先の多様化などの方策に加え、取引条件を書面化することの重要性を強調している。契約を書面化することで、大企業が発注後に一方的に価格を引き下げたり、数量を変更する事態を回避できると提言した。その際に、詳細な規定の設定も、トラブルの解消に役立つとしている。

 甘利経産相は、日本経団連などに下請けいじめを防止するための指針作りを要請している。


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[アメリカ経済]

(1)FRB、インフレ懸念根強く、物価に苦慮(4/23)***

 アメリカでは、景気減速と物価上昇の懸念が混在しており、金融政策の次の一手が絞り込まれていない。アメリカ連邦準備理事会(FRB)は、利上げと利下げの両にらみで政策運営を続ける構えを見せている。

 FRBは、昨年8月のアメリカ連邦公開市場委員会(FOMC)で、約2年間にわたる利上げを停止した。それ以来、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標(現行年5.25%)を据え置き、様子見の状態を続けている。

 バーナンキFRB議長は、景気・物価両面にらみの姿勢を変えず、今後の金融政策を柔軟に判断したい考えだ。しかし、市場では、今年後半に利下げに転じるとの見方が多く、利上げの再開も排除しないFRBとの対話がギクシャクしている。


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[世界経済]

(1)G7声明、世界経済の楽観論に潜むリスク(4/15) ***

 ワシントンで開かれた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、「世界経済はリスクは残るが、過去30年超でもっとも力強く拡大している」とする共同声明を採択した。

 アメリカは持続可能な成長に緩やかに減速し堅調だとし、日本は景気回復が軌道に乗って継続すると分析し、欧州も健全に上昇すると明記した。今のところは、世界経済は順調に推移しているという認識だ。

 市場に潜むリスクに警鐘をならした前回2月のG7声明直後に、上海市場の株価下落をきっかけに世界同時株安が起きた。現在は、日米などの株価は、同時株安前の水準に戻っている。G7各国は、市場がリスクを認識して自立的に調整したと評価する。

 一方で、世界の株式市場が再び混乱する恐れは消えていない。リスクへの警戒は怠れないとしている。

 最大の懸念材料は、減速気味のアメリカ経済だ。アメリカでは、住宅バブルが弾け、サブプライムという信用力が低い個人を対象にした住宅ローンの焦げ付きが急増している。ローンを扱う金融専門会社の経営破たんも相次いでいる。影響は限定的ではないかとの見方もあるが、まだ断定はできない。日本経済についても、最近企業の景況感にはやや陰りが見られる。楽観論のとおりに世界経済が拡大するのか。各国の政策の舵取りが問われる。

 為替相場に関しては、1ユーロ=161円台と対ユーロで最安値が続く円安の是正には触れなかった。市場は、現行水準の追認と受け止めるだろう。一段の円安加速に注意したい。

 声明は国を名指ししなかったが、内需の強化にも触れた。日本は円安に伴う過度な輸出増に依存せず、内需主導による景気回復を実現する必要がある。


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[WTO]

(1)WTO輸出国グループ「日米欧、農業分野解放を」(4/19) **

 豪州、ブラジルなど農産物輸出国19カ国でつくるケアンズ・グループは、閣僚会合後に、世界貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンドの年内妥結に向け、日米欧を名指しして、農業分野の市場開放を促す共同声明を発表した。

 交渉の成否の鍵を握る農業分野で、農業補助金の大幅削減に抵抗し交渉を停滞させたアメリカが譲歩の構えを見せ、対立していた欧州連合(EU)も歩み寄りを見せ始めている。ただ、アメリカは自ら農業補助金を削減しても、有力途上国の市場開放が不十分な内容に終わることを警戒している。そのため、途上国代表のインドやブラジルの取り込みを図っている。

 日本は、これを日本外しの動きと警戒する。5月下旬の東京での主要6カ国・地域(G6)の閣僚会合では、日本はEUやインドを見方にして巻き返しを図る構えだ。しかし、共催相手の豪州は、全農産品に課す関税を一定以下に抑える上限関税の設定を求めるケアンズ・グループのリーダーで、日本と反対の立場だ。日本は、農産物輸出国などの関心事に配慮しつつ、自らの主張も通すという役回りをこなすという必要に迫られている。


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