4月第2週(4/8〜4/14)「アメリカ、模造品氾濫で中国をWTO提訴」(最高3つの*)


[WTO]

(1)アメリカ、模倣品氾濫で中国をWTO提訴(4/11) ***

 音楽ソフトなどの模倣品が中国で氾濫している現状に業を煮やし、アメリカが世界貿易機関(WTO)への提訴に踏み切った。中国政府は、WTO加盟後、取締りを強化しているが、音楽ソフトのように流通品の大半を違法コピー品が占める分野もあり、対応が追いつかないのが実状だ。先進各国が知的財産権保護への取り組みを強める中、中国への圧力も高まっている。

 知財関連の法律は、すでに100以上が整備され、法制面では、ほぼ先進国と同等のレベルだといわれる。問題は、摘発が氷山の一角にとどまるということだ。中国の小売業界は、違法商品をまったく置いていない店は2割程度だといわれる。国際レコード産業連盟の調べでは、05年に中国で売られたCDなどの音楽ソフトの85%以上が違法コピーという。

 中国政府は、昨秋違法コピーを全国的に一斉摘発する「100日行動」を実施した。しかし、一斉摘発のほとぼりが冷めた現在では、以前と変わらない状態に戻っている。

 「アメリカは、中国の知的財産権侵害を取り締まるため、新たな対策を講じる」と、アメリカ通商代表部(USTR)のシュワブ代表は、9日、WTO提訴の意義を強調した。最近でも、「米中戦略経済対話」などハイレベル会談を通じ改善を促してきた。これに対する中国の対応は、問題解決に程遠かったという。対中批判が高まる議会への配慮もあり、今回の提訴では、日本、EUを巻き込んで包囲網を狭める考えだ。

 日本の被害も甚大だ。特許庁が04年に発表した推計では、年間9兆3,000億円程度の被害が出ているとしている。


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[競争政策]

(1)郵政関連会社整理検討委員会が初会合、聖域なき見直しなるか(4/14) **

 日本郵政公社が出資している郵政ファミリー企業や公益法人と、公社の取引実態を総点検する「郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会」は、13日初会合を開き関連会社の整理や取引是正に向けて検討を始めた。民営化直前の9月までに結論をまとめる予定だ。

 同公社の西川総裁は、冒頭「郵政事業の関連会社・法人には必ずしも必要とはいえないところもある。抜本的に整理、見直しを進めてもらいたい」と述べ、聖域なき見直しの検討を要請した。民営化で発足する持ち株会社の日本郵政、子会社のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険は、2010年度の上場を目指しており、株主に説明できない取引は、抜本的に見直す必要があるとの判断が背景にある。

 検討の対象には、公社が郵便事業や簡保業務などを委託している子会社と関連会社37社と、関連公益法人35法人に加え、郵政公社と取引がある6千数百社のうち、取引額が3,000万円以上にのぼり、売上高に占める公社との取引の割合が5割を超える158社も含める。これらの公益法人や企業には、公社OBの天下りを引き受ける代わりに、公社が支払う業務委託費が割高になっているところもあるという。たとえば、公社OBが役員を務める財団法人郵政福祉は、特定郵便局の局舎を公社に賃貸しているが、賃料が相場より割高になっているケースが少なくないという。

 西川総裁は、特定郵便局のネットワークを営業活動に活用するなど、既存体制との融和姿勢も見せており、郵政ファミリー企業の反発が予想される中、どこまでメスを入れられるのか注目される。


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[金融市場]

(1)保険不払い底なし、生保の経営責任に波及も(4/14) *

 生命保険会社の保険金不払い調査報告と損害保険会社の業務改善計画が重なった13日、主要生損保14社の社長らが相次いで会見し、信頼回復を経営の最優先課題に掲げる決意を訴えた。泥沼化した不払い問題は、保険業界の顧客軽視の姿勢を強く印象付けた。

 生保の不払いには、次の三つのパターンがある。

@ 契約者の請求が条件を満たしているのに、不当な理由をつけ支払いを拒否

A 請求書や診断書を調べる過程のミスで、保険金が本来より不足

B 特約などで契約者からの請求がなく、追加の保険金を支払わなかった

 最初に発覚した@の支払い拒否は、05年に調査は完了したが、ほかの二つのパターンについては05年末から調査が始まった。13日の報告でも一部が発表されたが、支払い完了は今年9月までかかりそうだ。

 一方、損保は、主力の自動車保険などでは、支払い拒否による不払いを調査対象としていない。未請求の不払い調査は、05年9月から3度にわたり実施された。金融庁が報告を受けるたび、調査対象がずさんだとして再調査を命じたためだ。3度目の調査は4月末でようやく終了する見通しだ。

 損保の医療保険など第3分野保険では、不当支払い拒否と事務処理のミスは、昨秋までに調査を終えた。未請求の案件については一部の損保が調査を始めたばかりで、生保同様に不払いが多発する可能性がある。

 このほか損保では、火災保険料の取りすぎが発覚した。この種の可能性が高い契約の点検は終了し、全契約の調査終了は来春にずれ込む予定だ。


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