4月第1週(4/1〜4/7) 「内閣府、景気基調判断下方修正」(最高3つの*)
(1)日銀短観、大企業製造業1年ぶりに悪化(4/3) ***
日銀が発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業の景況感が1年ぶりに悪化に転じるなど、企業経営者が景気の先行きに警戒を強めていることが鮮明になった。不透明なアメリカ経済、世界同時株安、円高進行などが不安心理を増幅させた。しかし、短観は、堅調な設備投資、雇用改善の動きなど企業部門の実勢が底堅く、個人消費の持ち直しを期待させる動きも映し出した。
今回の短観では、景気のけん引役だった企業部門の景況感に陰りが見え始めた。目立つのは、自動車や電気機械など輸出関連企業の悪化だ。2月下旬から3月末までの調査中に、住宅ローン市場の混乱などを受けたアメリカ経済の先行き懸念や、1ドル=115円台まで上昇した円高などが影響したようだ。自動車は、国内販売の苦戦を輸出で補っている。アメリカ市場の冷え込みや急激な円高は、業績に直結する。
しかし、市場では、業況判断の悪化ほどには企業部門は落ち込んでいないとの見方が一般的だ。短観でも、企業の投資意欲が衰えていないことが裏付けられた。07年度の設備投資計画は、大企業・全産業ペースで好調だった前年度をさらに2.9%上回る予想だ。日銀が最も注目した個人消費関連でも改善の兆しが見えている。昨年10〜12月期に判明した個人消費の改善傾向が、年明け以降も持続していると見られる。
また、短観では人手の不足超過が高まるなど雇用改善の動きも出ており、今後は緩やかな賃金の上昇がどこまで進むかが、鍵になる。
追加利上げの時期を模索する日銀にとり、強弱まだら模様の今回の短観が、利上げ判断に直接的な影響を及ぼすとの見方は市場には少ない。
業況判断「良い−悪い」 | |||
12月 | 3月 | ||
大企業 | 製造業 | 25 | 23 |
非製造業 | 22 | 22 | |
雇用人員判断「過剰−不足」 | |||
12月 | 3月 | ||
大企業 | 製造業 | −6 | −7 |
非製造業 | −16 | −19 |
(2)内閣府、景気基調判断下方修正(4/7) **
内閣府による2月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が16.7%で、景気判断の分かれ目となる50%を2ヶ月連続で下回った。好調であった企業部門の指標が悪化したためで、内閣府は、景気の基調判断について「改善を示す状況にある」から「足元弱含んでおり、今後の動向に注意を要する」へと、2年4ヶ月ぶりに下方修正した。
半年程度先の見通しを示す先行指数は30.0%で、4ヶ月連続で50%を下回った。景気の動きに数ヶ月遅れる遅行指数も遅行指数も0%で、4ヶ月ぶりに50%を下回った。3種類の景気動向指数がすべて50%を割り込んだのは、01年12月以来、5年2ヶ月ぶりだ。
(1)金融庁、地銀への監督簡素化へ(4/6) **
金融審議会(首相の諮問機関)は、全国約570の地域金融機関(地方銀行、信用金庫、信用組合)の役割に関する報告書「地域密着型金融への評価と今後の課題について」を公表した。金融庁の監督手法として、金融システム不安を解消する過程で詳細な行動計画を課した有事の取り組みから、自主性を尊重する平時の対応へと転換する点が特徴だ。 報告書は、金融庁の監督指針に地域金融機関の機能強化策を盛り込むように提言した。具体的には、@取引先企業の支援強化、A中小企業に適した資金供給手法の徹底、B地域経済への貢献、などへの取り組みを金融機関側が自ら経営計画に盛り込むように求めている。
審議会の堀内会長は、監督手法の転換の狙いについて「危機的状況を脱する見通しがつき、平時対応とした」と説明した。
金融庁は、これまで2回2年単位の行動計画を策定させた。これまで不良債権処理に追われる中で、行政の強い関与が必要との判断からだ。しかし、景気回復が追い風となり、地方銀行の不良債権比率は02年3月末の7.7%から、06年9月末には4.3%まで低下し、経営体力は大幅に改善した。
一方で、金融審議会などには、地域金融機関が地元経済に果たす役割は、まだ不十分との声が多い。不動産担保や個人保証に頼らない融資実行額は昨年4〜9月の半年間に計929億円で、前年度の年間実績の半分に満たず、ペースは鈍化している。新興企業育成のために事業への目利きが不十分で、成果につながっていないとの指摘も出ている。 今後は、経営改善支援の取り組み件数など5点について、実績を数値で開示させることにした。