9月第5週(9/24〜9/30)メインテーマ:「ドーハ・ラウンドの凍結」(最高3つの*)


[電力]

(1)企業の自家発電、撤退続く(9/25) **

 企業が電気代節約のために導入した自家発電事業が、原油高のため苦境に立たされている。この6年間に原油価格が2倍に上昇し、自家発電コストが電力会社の電力料金よりも高くつくようになったからである。そのため、電力会社からの供給に切り替える企業が相次ぎ、自家発電の設備販売から撤退する企業も出ている。

 自家発電は、企業が空いたスペースにA重油などを燃料に使う発電機を設置して電気を作る。重油が安ければ電力会社から電機を買うよりも安く発電できるため、2000年前後に導入企業が出て来た。05年度末で、3,447の自家発電が事業認可を受けている。電力会社も顧客離れを防ぐため、自家発電の子会社を作った。ところが、A重油が値上がりし、電気料金よりも自家発電のほうが割高になってしまった。このため、自家発電ビジネスから撤退したり、事業を縮小する企業が相次いでいる。

 自家発電から電気購入への切り替えは、05年度に電力9社合計で約108.3万キロ・ワットに及び、原発1基分にほぼ相当する量である。そして、06年度も大量の切り替えが続いている。


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[財政]

(1)国債残高、初の減少(9/26) **

 財務省は、国債や借入金などを合わせた国の借金の残高が、06年6月末で827兆7,948億円に達し、過去最高を更新したと発表した。国民一人当たりの借金額が、約648万円に達することになる。ただ、前回発表の06年3月末比の増加額は3,143億円で、96年6月末分の公表開始以来、過去最小となった。

 借金の内訳は、一般会計の歳入不足を補う普通国債が同181億円減の526兆9、098億円と始めて減少した。これに、財投債などを合わせた国債全体の残高も減少した。しかし、一時的な資金不足を補うために発行される政府短期証券が同2兆8,196億円増の100兆4,470億円となったため、全体の借金額は増加した。


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[WTOとFTA]

(1)ドーハ・ラウンドの凍結―渡辺頼純氏(9/27) ***

 4年半以上に及ぶ世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が凍結となり、自由貿易体制への信頼が揺らいでいる。世界経済の発展に不可欠な自由貿易体制を守る新体制は確立できるのか。

 ドーハ・ラウンド凍結は非常に深刻な問題である。特に問題なのは、途上国、先進国を問わず、グローバルな自由貿易体制を堅持する努力をしないと崩壊するという危機感がなくなっていることである。いま世界中で、自由貿易協定(FTA)のような地域的枠組み作りが広まっている。こうした協定を結べる国は経済力があり、地域の中でリーダー的な役割を果たしている国で、自国中心にまとめていく力がある。だから今ドーハラウンドがこけても困る状況にはない。

 WTOは、自由貿易体制を守る国際機関としてあり続けるべきである。WTOへの参加を望む国は、ロシアを始めまだ20カ国以上ある。その最大のメリットは、最恵国待遇(MFN)を得ることである。中国はWTOに加盟したことで、毎年毎年アメリカ議会から人権問題でうるさいいことを言われずに無条件のMFNを与えてもらえた。ロシアもイランもそれがほしいのである。

 一方、WTOのグローバルな貿易の自由活動を補完する形でFTA、経済連係協定(EPA)ができてくるのはいいことである。常に、WTOとの整合性、決して閉鎖的にならないという原則をしっかり押さえてやっていくならば、これはグローバルにもプラスになる。アメリカ大陸、欧州、東アジアの3つの巨大な地域は、それぞれ地域的な経済統合で自由化が進んでいく。この3地域を全体の中でとらえ、WTOが持つルールとか紛争解決メカニズムを利用していくことで、WTOとFTAの共存関係は図れるであろう。

 さて、ドーハ・ラウンドのこれまでの交渉を無にしてはいけない。04年7月の合意のようにある程度交渉が進展した部分については、それをベースに今後の交渉を行なっていくべきである。例えば、農業に関しては関税の高いところは関税の下げ幅を大きくし、関税の低いところは低い幅でいいという例である。大事なことは、これまでの成果を水泡に帰さないようにして、そこから交渉を再開させることだろう。


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[金融市場]

(1)大手銀行株含み益7.9兆円(9/30) **

 第一生命研究所によると、大手銀行・金融6グループが保有する株式の含み益(株式の時価マイナス購入時の価格)が、06年度上半期末に約7兆9,000億円になったとする試算を発表した。試算開始以来(02年3月末)最高だった今年3月末と比べると、約5,000億円減少した。一方、日本生命など大手生保4社が明らかにした06年9月末の株式含み益も、合計で11兆3,300億円と3月末より6,700億円減少した。

 29日の日経平均株価は、終値で1万6,127円と3月末比5.5%下落したため、銀行・生保の含み益減少につながったとみられる。

 大手銀行・金融6グループは、日経平均株価が8,500円台に落ち込んだ02年12月末には計4兆5,100億円の含み損を抱えた。株価回復により、03年9月末からは含み益に転じ、06年3月末には8兆4,000億円となった。


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(2)変動住宅ローン金利引上げ(9/30) ***

 みずほ銀行など大手3行は、変動金利型の住宅ローンを10月から引上げると発表した。各行とも、現行より0.25%高い年2.625%とする。変動金利の引上げは6年ぶりとなる。変動金利型の住宅ローン金利は、短期プライムレート(企業向け最優遇貸出金利)に連動し、今回の引上げは、ゼロ金利解除を受け3行が8月に短プラを0.25%引上げたことに伴う措置である。


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