9月第3週(9/10〜9/16) メインテーマ:「竹中改革、功罪の5年」(最高3つの*)


[景気動向]

(1)4〜6月実質GDP、年1.0%成長に上方修正(9/12) ***

 内閣府が発表した4〜6月期のGDP改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%増、年率換算で1.0%増となった。速報値と四半期の成長率は変わらなかったが、年率は0.2%の上方修正となった。先行きの需要を見込んで在庫が増え、景気回復が堅調に進んでいることを裏付けた。 実質0.2%成長のうち、内需が0.4%、外需がマイナス0.1%の寄与で、民間主導の成長となっている。GDPの7割強を占める個人消費と設備投資は、引き続き好調である。設備投資は3.7%増となったが、二期連続で3%台の高水準となった。個人消費は0.5%増と堅調であった。

 名目成長率は前期比0.3%増となり、年率だけ0.2%上方修正し1.3%となった。プラス成長は名目、実質ともに6期連続となった。

[4〜6月GDPの内訳](前期比%)
実質GDP 0.2
(年率換算) 1.0 

個人消費 0.5 
住宅投資 −2.7 
設備投資 3.7 
政府消費 −0.2 
公共投資 −6.3 
輸出 0.9 
輸入 2.0 
民間在庫 −0.0 

名目GDP 0.3 
(年率換算) 1.3 


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[金融市場]

(1)貸金業、特例高金利2年25.5%(9/16) **

 自民党は、グレーゾーン(灰色)金利の廃止や規制強化を内容とする貸金業規正法の改正案をまとめた。焦点であった、灰色金利廃止後に小額・短期の融資に限って認める特例高金利は、「適用期間2年、年利25.5%」とすることで決着した。そして、灰色金利が事実上残る期間は、原案より約4年短い2011年までの5年となった。金融庁は、秋の臨時国会に提出する。

 改正案では、出資法の上限金利(年29.2%)を利息制限法の上限金利(年15〜20%)まで引下げ、二つの上限金利の間にあった灰色金利を廃止する。この例外となる特例高金利は、返済期限1年以内、総額30万円以下の貸付について認める。灰色金利を廃止する09年までの間に必要ないと判断すれば、特例高金利を撤廃できる見直し規定も設けた。


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(2)竹中改革、功罪の5年(9/16) ***

 参院議員を辞職する竹中総務相は、小泉内閣の発足以来構造改革の旗振り役を務めてきた。金融機関の不良債権処理問題や郵政民営化に道筋をつけたと評価される一方、その強引な手法には批判も集まった。

 竹中氏が、閣僚としてまず力を注いだのが金融再生であった。金融相として02年秋に示した金融再生プログラムは、大手銀行に貸し出しに占める不良債権比率(当時8%)を3年で半減させるという厳しいハードルを課した。このため、不良債権処理は進んだが、銀行の貸し渋りを誘発し、日経平均株価が03年4月、バブル崩壊後最安値(7,607円)となるなど市場の不安も増大した。

 小泉首相が改革の本丸として執念を燃やした郵政民営化では、担当相として与党内から厳しい批判を受けながら、07年10月の民営化に向けてレールを敷いた。郵便、郵貯、簡保、郵便局の4事業を分け、持ち株会社「日本郵政」の傘下に収める案を押し通した。だが、住宅ローンや中小企業向け融資、医療・傷害保険への新規参入など、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の拡大路線が目立ち、金融業界からは民業圧迫だとの反発も強まっている。

 経済財政運営では、官邸に軸足を移すため、毎年6~7月に「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」をまとめ、歳出削減の流れを作った。しかし、昨年10月に総務相に就任したことをきっかけに、与党に主導権を奪われる形で存在感が低下した。今年7月の与党がまとめた財政再建シナリオは、与謝野経済財政相と中川政調会長が中心となり、竹中氏の発言は目立たなかった。15日に、竹中氏は、安部次期首相を支える考えを示した。与党内では、小泉改革路線を修正する動きもあり、竹中氏の動向は注目される。


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