10月第3週(10/15〜10/21)メインテーマ:「企業業績好調、NY株終値、初の1万2,000ドル台」(最高3つの*)
(1)日銀報告、景気全地域で拡大・回復(10/20) ***
日本銀行は、支店長会議を開き、全国9地域の景気動向を分析した「地域経済報告」を発表した。北海道と関東甲信越の2地域の景気判断を上昇修正した結果、全地域が拡大か回復の方向にあるという判断になった。
設備投資と輸出の増加傾向を背景に、全地域の景気を総括した判断も、7月の「全体として着実な回復が続いている」から「全体として緩やかに拡大している」へ引上げた。
景気判断が好調なのは、設備投資が全国的に増加傾向にあるからである。デジタル家電や自動車関連を中心に、企業の設備投資意欲は強い。個人消費も、デジタル家電や高機能タイプの白物家電の売れ行きが良く、旅行支出も堅調に推移している。
(1)中小企業の賃金「上昇」7割(10/20) **
商工組合中央金庫が発表した中小企業の雇用・賃金動向によると、06年度の賃金計画について、前年度比で「上昇する」とした企業が全体の73.4%に達し、14.8%の「不変」や、11.6%の「減少する」を大きく上回った。05年度実績でも、全体の68.8%の企業が「上昇した」と解答し、賃金の上昇傾向を鮮明に示した。
上昇幅は、前年度に比べ0〜2%プラスと解答した企業が52.1%と最も多く、2〜5%プラスの企業が19.3%と続いた。しかし、5%以上のマイナスとした企業も1.9%あった。
(1)日・ベトナム交渉開始合意、対アジアEPA加速へ(10/20) **
日越首脳会議で,自由貿易協定(FTA)を柱とする経済連係協定(EPA)交渉を開始することが合意された。安倍政権は、EPAでアジアの高い経済成長を日本に取り込む戦略を打ち出しており、各国と交渉を加速させる方針である。しかし、EPA締結国を増やすには、米や麦を含む農産物市場の開放など、これまで避けつづけてきた国内問題に取り組むことが必要である。 ベトナムとの交渉開始は、安倍政権初のEPA交渉となる。ベトナムの対日輸出額は35億ドル(04年)で、22%はエビなどの水産品、15%は縫製品が占め、これらの関税撤廃を求めてくると考えられる。
日本は、ASEANのうち、ベトナムを含め7カ国とEPA締結または交渉中である。最終的には、ASEANに日本、中国、韓国、豪州、ニュージ−ランド、インドを加えた16ヶ国での「東アジアEPA」を目指す。 日本は、これまでのメキシコ、マレーシア、フィリピンとのEPA交渉では、自国の米、麦を関税引き下げ交渉の対象から外してきた。しかし、豪州、中国、ニュージーランドは、農業大国である。EPA交渉に入れば、米や麦などの関税引き下げや撤廃を要求されるのは必至である。韓国は、農林水産品の日本側の市場開放の程度が低いとして、日韓の交渉は止まっている。労働力の受け入れ要請にどう対処するかも難題だ。
安倍政権が、これらの問題にどうカジを切っていくかは、国内だけでなくアジア諸国・地域から注目を集める。
(1)企業業績好調、NY株終値、初の1万2,000ドル台(10/21) ***
19日のニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価(工業株30種)が終値で初の1万2,000ドルの節目を突破した。アメリカ景気の足元の企業業績の堅調が確認できたためである。インフレ圧力の低下による金融引締め観測の後退や原油相場の落ち着きも支援材料になっている。
ダウ平均は、今月3日に終値の最高値を約6年9ヶ月ぶりに更新したが、10月に入り、14営業日で9度目の終値ベースでの最高値更新となった。3日以降に発表された今年7〜9月期決算では、ゼネラル・エレクトリックス(GE)IBM、マクドナルド、コカ・コーラなどが、増収増益を計上したためである。ダウ平均は、年初比で約10.7%上昇し、ナスダックの4.3%上昇を上回る伸びを示した。
ガソリン価格の下落と底固い雇用情勢により、住宅ブームの減速による個人消費の失速が回避されている。市場関係者によると、24日のアメリカ連邦公開市場委員会(FOMC)で金利が据え置かれる公算が大きい。
一方、石油輸出国機構(OPEC)は、19日に減産を決定し、追加減産の可能性も浮上している。最近の原油相場の下落は、一時的なものに留まるとの見方も少なくないのは、懸念材料である。