10月第1週(10/1〜10/7) メインテーマ:「景気「いざなぎ景気」に並ぶ」(最高3つの*)


[金融市場]

(1)日銀短観、設備投資高い水準(10/3) ***

 日銀が発表した企業短期経済観測調査(9月短観)は、市場の予想に反して、大企業を中心に景気の緩やかな拡大が続いていることを裏付けた。日銀が金融政策を判断する上で重視する設備投資計画もバブル期以来の高水準が続く。年内の追加利上げを巡る議論が活発化するのは必至で、次の一手への関心が再び高まってきた。

 大企業・製造業の業況判断指数(DI)の改善に加え、06年度の設備投資計画は、全規模・全産業で6月調査時点より2%上方修正された。企業の人手不足感も強く、雇用人員判断DIは全規模・全産業でマイナス8と、92年8月調査以来14年ぶりの不足超過の水準となった。

 8月に消費者物価指数の算出指数が改定され、同指数が下方修正されるなど、このところ追加利上げに対する逆風が続いていた。しかし、9月短観の結果は、久々に利上げへの追い風ともいえそうである。

 しかし、大企業・製造業の業況判断指数(DI)の先行き予想が3期ぶりに悪化した。経済を下支えしている中小企業の製造業、非製造業でDIは共に悪化した。

 今後の追加利上げについて、日銀の福井総裁は、「ゆっくりと進める」と繰り返しているが、景気失速を招けば戦犯扱いされかねないだけに、難しい判断を迫られそうである。

日銀短観については、「重要30用語」参照)


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[景気動向]

(1)景気「いざなぎ景気」に並ぶ(10/7) ***

 政府は、10月の月例経済報告で、国内の民間需要に支えられ景気は回復しているとの基調判断を示す方針を固めた。このため、02年2月に始まった現在の景気拡大局面は4年9ヶ月に達し、高度成長期のいざなぎ景気(昭和40年11月〜45年7月)に並んで戦後最長となることが確実となった。 一方、内閣府による景気動向指数でも、景気の現状を示す一致指数は77.8%と、景気判断の分かれ目となる50%を5ヶ月連続で上回った。内閣府は、現状は改善を示す水準にあるとの判断を14ヶ月連続で据え置き、景気回復が続いているとの認識を示した。

 しかし、期間の長さの割に、回復の実感は過去の回復期と比べ薄い。実感なき回復には、デフレを引きずりながら歩んできた日本経済の姿が投影している。物価が持続的に下落するデフレ経済は、企業の売上高と収益が減少するため企業は賃金や人手を減らし、これが消費を萎縮させ、再び企業の売上高や収益を減少させるという悪循環に陥りやすい。 今回の景気回復で、日本が幸運であったのは、予想外に円安が進んだことである。2000年には1ドル=100円台であったが、回復が始まった02年2月には130円台まで円安が進み、その後も円安傾向で推移した。このため、輸出が拡大する一方で、輸入価格が上昇し、デフレの進行を防いだ、日銀が01年3月末から実施した金融の量的緩和策も効果もあり、デフレからの景気回復が可能となった。しかし、デフレの影響で、名目国内総生産は06年4〜6月期で510兆円(年率換算)と、02年1〜3月期と比べ4%増に留まっている。いざなぎ景気では、期間中に2.2倍に増加した。やはり、景気上昇の勢いの差は明白である。

 企業がリストラの一貫として、賃金や雇用のカットを急いだ結果、雇用者報酬は02年の263兆円から05年には259兆円にまで減少した。いざなぎ景気では、2.1倍に増加した。したがって、家計に冷たい今回の景気回復を特徴づけている。一方、

 財務省によると、06年1~3月期の企業の経常利益は、02年1〜3月期に比べ65%増加している。企業が不良債権処理や設備投資を優先した結果、賃金は伸びていないのである。

[景気の比較]
いざなぎ景気 今回の景気回復
実質経済成長率 11.5% 2.5%
消費者物価上昇率 30.6% −0.7%
所得の伸び率 2.1倍 2%減
消費の先導役 カラーテレビ 薄型テレビ
車、クーラー DVD、デジタルカメラ


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