11月第5週(11/26〜12/2) メインテーマ:「ユーロ、対円最高値」(最高3つの*)


[金融市場]

(1)不良債権比率10%以上、信組の半数、信金も3割(11/27) ***

 06年3月期の不良債権比率(貸し出しに占める不良債権の割合)が10%以上の信用組合が92あり、全国の信組の半数を占めていることが分かった。信用金庫も91と全国の3割である。大手銀行は同比率を1%台に減らしたが、経営改善が遅れている地域金融機関が多いことが明らかとなった。

 不良債権比率の平均は信組が10.5%、信金が8.8%で、それぞれ前期より0.8%、1.0%下がった。しかし、中小金融機関のなかでも経営格差は拡大している。一部の信組は経営不振が続いている構図だ。不良債権比率が10%以上の信金は05年3月期よりやや減っている。信金、信組は、中傷・零細企業向け融資がほとんどで地域経済を下支えしているだけに、不良債権をすぐには処理しにくい面がある。信金は、99年と比べると合併などで四分の三に減り、信組は半分になったが、さらに再編による経営改善が必要だとの見方が多い。


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(2)10月消費者物価伸び率鈍化、追加利上げに逆風(11/2) **

 10月の全国の消費者物価指数は、価格変動が大きい生鮮食品を除く総合で100.4と前年同月に比べ0.1%の上昇に留まった。伸び率が2ヶ月連続で鈍化したため、市場では、日本銀行による早期の追加利上げには逆風になるとの見方が広がった。

 大田経済財政相は、日銀の金融政策に関し、物価動向に関する限り追加利上げの環境は整っていないとの認識を示した。石油関連製品などを除いた10月の「特殊要因を除く中核指数」はマイナス0.4%に落ち込んでいる。そのため、市場では、日銀が07年度の物価見通しをプラス0.4〜0.5%としていることに対し、物価は、当面、日銀の想定より低水準で推移するとの見方が出ている。


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[財政]

(1)健全財政には歳入増より歳出削減(11/28) **

 内閣府の「世界経済の潮流」は、先進国のうち、歳入増より歳出削減を重視して財政を健全化した国のほうが、健全性が長続きしているとの分析結果を掲載した。特に、社会保障費など構造改革や制度改革などを伴う歳出削減を行った国の方が、財政健全化の効果が長続きしているとしている。

 90年代にGDP比で4%以上の財政収支の改善を果たした20ヶ国のうち、2000年代も健全性を維持したオーストラリアやカナダなど12カ国と、アメリカやドイツなど財政収支が悪化に転じた8カ国の2グループを比較した。健全性を維持した国では、歳出削減が90年代の財政収支改善に寄与した割合がGDP比3.3%だったのに対し、歳入増の寄与は1.9%だった。一方、悪化した国は、歳出削減の寄与は1.3%だっ たのに対し、歳入増の寄与が3.7%だった。


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[通信]

(1)地デジ全国放送、受信機まだ1,500万台(12/2) **

 地デジ放送は、03年12月に3大都市圏で始まり、視聴できる世帯の割合は04年12月が約38%、05年12月は約60%に拡大した。この12月1日には、8県の県庁所在地で放送が開始され、視聴可能な世帯は約84%、3,950万世帯に増加した。総務省は、10年末の世帯カバー率が約99%になると見込んでいる。アナログ放送は、2011年7月に停止する。

 放送局や自治体、メーカーなどでつくる地上デジタル推進会議は、テレビやチューナーなど地デジ対応の受信機の普及目標を、11年に1億台、5,000万世帯としている。しかし、この10月末の累計出荷台数は、1,511万台にすぎず道のりは遠い。地デジ対応のテレビは、液晶やプラズマなどの薄型・大画面が主流で価格がまだ高く、メーカーや量販店が、10インチ台の小型で、利用者が買いやすいテレビの品揃えが必要になりそうである。

 地デジに対応した放送機器や中継局などの設備投資総額は、NHKで約3,850億円、民法は全体で約8,080億円と見られる。しかし、電波が届きにくい離党や山間部など、全世帯比で1%の視聴者への対策が残される。中継局などの投資効率が低いため、総務省などは衛星デジタル放送などによる代替措置を検討している。


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[ユーロ経済]

(1)ユーロ、対円最高値(11/30) ***

 29日の東京外国為替市場で、ユーロが対円で一時、1ユーロ=153円43銭と、ユ−ロ導入以来の最高値をつけた。対ドルでも、一時約20ヶ月ぶりの高値となる1ユーロ=.1.3218ドルとなるなど、独歩高状態となっている。ユーロの上昇率は、対円、対ドルともに今年初めから約10%に達した。

 欧州経済の成長を背景に、欧州中央銀行(ECB)が今後も利上げを続けるとの見方が、ユーロ買いを促している。円安・ユーロ高の進行は、欧州域外への輸出が多いフランスやイタリアなどでは、輸出競争力の低下を懸念する声が出ている。フランスのシラク大統領は、「ユーロ高を懸念している」と口先介入を試みた。一方で、ルクセンブルクのユンカー首相は、「現在のユ−ロの相場水準を懸念していない」と述べるなど、ユーロ加盟国の間でも、為替レートをめぐる足並みはそろっていない。


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