11月第3週(11/12〜11/18)メインテーマ:「7〜9月のGDP年率2.0%増」(最高3つの*)
(1)7〜9月のGDP年率2.0%増(11/14) ***
内閣府によると、7〜9月期のGDPは実質で0.5%増、年率換算で2.0%増となり、7四半期連続のプラス成長となった。輸出と設備投資の伸びに支えられ、伸び率は前期に比べ上昇し、景気の底固さが確認された。しかし、個人消費が前期比0.7%減と2四半期ぶりにマイナスに転じ、景気の内需主導での拡大には不透明感が出ている。
景気の先導役だった設備投資が2.9%増と、前期からやや伸びが縮小した。公的資本形成は、公共事業削減を受け6.7%減であった。このため、内需全体の寄与度は、プラス0.1%と、7期ぶりの低水準となった。
一方、アメリカ向けの輸出が好調で、輸出は前期比2.7%増で、前期より伸びが大幅に高まった。外需の寄与度はプラス0.4%増となり、内需の伸び悩みを補った。
この結果、内閣府が示している06年度の実質GDP成長率見込みの2.1%を達成するためには、残り2四半期で前期比0%と横ばいでも達成できる見通しとなった。
(1)APEC閉幕、WTO交渉再開へ結束(11/14) **
アジア太平洋経済協力会議(APEC)の閣僚会議は、交渉が中断している世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉ドーハ・ラウンドの早期再開に向け、APEC加盟21カ国・地域が結束して取り組む方針などを盛り込んだ閣僚声明を採択し、閉幕した。
閣僚声明は、農業交渉が暗礁に乗り上げ中断している新ラウンドの打開に向けあらゆる手段を探ることで合意したと強調した。
閣僚会議は、このほか、域内の先進国地域が2010年までに取り組む貿易・投資の自由化の行程表となる「ハノイ行動計画」や、模造品の排除策などを示した知的財産権保護のガイドラインを了承した。
(1)脱談合の仕組みー郷原信朗氏(10/17) **
システム化した談合が横行している原因には、歴史的な理由がある。談合罪は、1941年の戦時下の刑法改正で新設された。しかし、談合金を分配するような不正が明確な事案しか摘発しない、という抑制した運用が長く定着してきた。 経済成長期に、発注者側も積算価格をしっかり管理するなどの実力が伴わず、どうしても受注者側の協力を得なければ、公共工事を進められなかった事情もある。膨大な量の社会資本の整備に迫られ、半ば公然と受注業者が相談して決めるという慣習が、さほどの悪弊とも認識されずに社会構造として完成してしまったといえる。
90年代に、アメリカからの圧力で独占禁止法が強化されるようになり、ゼネコン汚職の摘発も続いた。しかし、その結果は、公然化していた談合が、水面下に潜っただけだった。業界の体質は改まらなかった。
しかし、国、地方の財政的な理由などもあって、談合排除の社会的機運が高まり、談合自体の捜査がしやすい状況が生まれてきた。さらに、大手ゼネコンなどが昨年末から今年4月にかけて談合とは決別する方針を打ち出した影響もある。
摘発をモグラたたきに終わらせないためには、ぜひとも談合システムに変わるものを構築しなければならない。同時に、競争が徹底した末、中小企業が倒産し、安全性は確保されるのか。業界が寡占状態に陥り、少数業者が価格引上げを図り、結局コスト高にならないかなどを考慮しながら、透明性の高い社会システムを構築しなければならない。