5月第4週(5/21〜5/27)「消費者物価6ヶ月連続プラス、ゼロ金利解除へ追い風」(最高3つの*)


[金融市場]

(1)大手銀行、06年3月期決算軒並み巨額の利益を計上(5/23) ***

 大手銀行の一部は、06年3月期の連結決算を発表し、軒並み巨額の利益を計上した。特に、三菱UFJフィナンシャル・グループの当期利益を約1兆2千億円にまで押し上げたのは、過去の不良債権処理費用の戻し益である。旧UFJの負の遺産が利益になって戻ってきた形である。不良債権処理の損益は、前期の1兆755億円の損失から、一転、3,897億円の利益となった。利益や自己資本の形で戻ってきた額は、旧UFJに出資した7千億円を上回り、事実上、買収資金を回収した形だ。

 みずほフィナンシャル・グループは、本業のもうけである業務純益が前期比11.1%増の8,892億円であった。貸出金が伸び悩む一方、個人向けの投資信託や年金保険の販売が好調であった。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(2)短期金利0.1%まで上昇(5/27) ***

 金融機関が資金を貸し借りする金融市場で短期金利の上昇が26日も止まらず、日本銀行が短期金利の誘導目標とする無担保コール翌日物金利が、一時0.1%まで上昇した。金融機関は、日銀から0.1%の公定歩合で資金を借りられるため、短期金利が0.1%未満でなければ市場から借りる必要がない。0.1%は、ゼロ金利政策の下での事実上の上限とされる。

 短期金利の上昇を抑えるために、日銀は25日に金融機関に資金を出す即日オペ(買いオペ)を実施したが、26日は見送ったため、一部の外銀が資金確保に動き金利が上昇したようだ。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

[物価水準]

(1)消費者物価6ヶ月連続プラス、ゼロ金利解除へ追い風(5/27) ***

 総務省によると、4月の全国消費者物価指数(CPI)が前年同月比で6ヶ月連続のプラスとなり、脱デフレが確かなものとなってきたとの見方も出ている。ゼロ金利の早期解除を目指す日銀にとっても、追い風といえる。

 4月のCPIは、3月に続き前年同月比0.5%上昇した。要因を見ると、石油関連製品が指数を押し上げた寄与度は、0.32%と3月の0.46%より大幅に低下し、原油高という特殊要因ばかりとはいえなくなってきた。3月には、CPIを0.03%押し下げた教養娯楽も、4月は一転して0.02%押し上げる要因となり、物価上昇品目の拡大を象徴した格好である。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

[競争政策]

(1)公取委と経産省、合併後シェア上限で対立(5/23) **

 経済産業省は、一定条件を満たせば原則合併を認める合併後の国内シェアを、現行の35%以下から引上げるように公正取引委員会に求めた。経産省が基準緩和を求めたのは、実際の審査で合併後シェアが35%を上回っても問題視されなかった例が多いためである。このため、経産省は、シェアの上限基準を50%以下に引上げた上、産業分野によっては輸入品との競争や世界シェアも考慮に入れた基準を明示すべきであるとして、運用指針の修正を強く求めている。

 公取委は、合併の可否はシェアだけでなく、個別事例ごとの総合判断で、合併後の値上げの可能性など消費者利益を大前提にするとの立場である。

 経産省は、経済財政諮問会議で基準緩和への理解を取り付け、6月に閣議決定する「骨太の方針」に盛り込みたい考えである。経済財政諮問会議の民間議員との間では、合併審査自体の不要論も議論され始めた。自力で国内シェアを90%にまで引上げた企業には規制がないことが理由で、価格つり上げがあった場合の取り締りなど、事後規制型を想定している。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]