6月第4週(6/18〜6/24)「政府・与党案、歳出削減踏み込み不足」(最高3つの*)
(1)ゼロ金利時代、福井総裁、超高利回り享受(6/21) **
日本銀行の福井俊彦総裁が、村上ファンドに投資した1,000万円が6年程で2倍以上に増えていたことが明らかとなった。野党などには、中央銀行のトップとして責任は重大で、進退を問うべきだとの声も強まっている。
日銀の超低金利政策の下で、1,000万円を定期預金に1年預けても金利は1万円に満たない。総裁の利殖は対照的であり、国民の神経を一層逆なでした。
日銀は、福井総裁が村上ファンドの解約を申し出た直後の3月に量的金融緩和策を解除した。金融政策の変更は、株価に大きな影響を与えるだけに、量的緩和解除前に解約したのは問題ではないかとの声が各方面から上がっている。
同ファンドに限らず、中央銀行総裁が、一般の人が原則投資できないような特定の投資ファンドに資金を出していた点も問題視する見方は強い。 与党内では、福井氏の進退を問う声は上がっていないが、福井氏の利益に対する疑問の声が強まっており、責任の明確化を求める福井包囲網は一段と強まってきた。
(1)政府・与党案、歳出削減踏み込み不足(6/24) ***
政府・与党が、23日の財政・経済一体改革会議で、合意した今後5年間(07~11年)の歳出削減方針では、削減の合計額は打ち出せず、個別の削減額が部分的に示されるに留まった。
今回合意した削減額では、今後5年間で公務員人件費を2.7兆円、地方自治体の単独事業を3兆円程度削減することが明記された。ただ、財政悪化の最大の要因である社会保障費は、改革が行なわれ、これ以上の削減は難しいとされるなど、厚生労働省や与党議員の抵抗が強く、削減額は示されなかった。
国から地方へ財源を配分する地方交付税は、現行総額を維持し、削減を行なわないとした。しかし、成長による税収増で地方交付税は自然に増えるため、総額の維持は実質的な削減を意味し、地方団体は早速反発を強めている。 今回の合意では、歳出削減に当たり、経済社会情勢に配慮しつつ毎年度必要な検証・見直しを行なうことも盛り込んだ。景気が悪化した場合に、歳出削減により景気がさらに低迷することを防ぐのが狙いである。
(1)郵便民間参入、全国一律維持に配慮がほしい(6/24) **
郵便事業の民間参入のあり方を検討してきた竹中総務相の私的研究会が、報告書案をまとめた。規制緩和で新規参入を促す内容である。
手紙やはがきなど信書の取り扱いは、03年に民間の参入が認められた。しかし、参入実績はいまだない。新規参入者には全国10万本のポスト設置を義務付けるなど、条件が厳しいためである。報告書案は、ポストでなくコンビニの店頭などでの対面引受を容認する方針を打ち出した。複数の企業が連携した全国配達も認め、来年10月に民営化される郵政公社の配達網を有料で民間に開放することも盛り込んだ。また、自力ではカバーできない地域での配達を郵政民営化公社に委託したりといった、新たな形での参入が可能となる。
郵便事業は、厳しい経営状況が続いている。民間のメール便などに押され、5,000億円を超える債務超過に陥っている。都市部の利益でその他の地域の赤字を埋め、ユニバーサルサービスを維持しているのが現状である。民間参入で価格競争が起きたり、都市部の客が奪われれば、それが不可能になると公社は危機感を強めている。報告書案は、過疎地などでの郵便事業の赤字を補てんするため、基金を設けることも提案した。
規制緩和が、国民利便の低下につながることは、避けなければならない。