7月第2週(7/2〜7/8)メインテーマ:「日銀短観、景気回復基調鮮明に」"(最高3つの*)
(1)日銀短観、景気回復基調鮮明に(7/3) ***
日銀が発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、業況判断指数DI(景況感が良いと答えた企業の割合から悪いと答えた割合を引いた値)は、大企業製造業でプラス21となり、3月調査に比べ1ポイント改善した。改善は2期振りである。大企業の06年度の設備投資計画は、前年度比11.6%増と、90年度以来の高い伸びとなった。企業の景況感が改善し、積極的な投資につながっており、景気の回復基調が鮮明になっている。
大企業の景況感の改善は、旺盛な設備投資意欲に結びついている。06年度は、製造業が前年度比16.4%増と前回より8.2%上方修正された。非製造業も8.9%増の設備投資を計画している。輸出の拡大や国内の消費回復を見込み、企業が増産や拡販に向けた投資を積極的に増やす構図が鮮明である。
(1)日銀、ゼロ金利解除で調整(7/4) **
日本銀行は、01年3月以来続けてきたゼロ金利政策を、約5年半ぶりに解除する方向で調整に入る。7月13、14日の金融政策決定会合での解除を軸に検討するが、8月にずれ込む可能性もある。解除した場合には、無担保コール翌日物の金利は実質ゼロから年0.25%に、公定歩合も現行の年0.1%から0.35%0.5%程度に引上げられる見通しである。
3日に発表された日銀短観では景気の堅調な回復が裏付けられ、そして、5月の消費者物価指数がお。6%と7ヶ月連続プラスの伸びとなったことを受け、日本経済が再びデフレに後戻りする懸念は小さいとの判断に傾きつつある。特に、短観で今年度の大企業の設備投資計画がバブル期以来の伸びとなったことも、超金融緩和を続けると過剰な設備投資となり持続的景気回復を阻害しかねないとの見方を強める理由となっている。
日銀は99年2月にゼロ金利政策を導入し、2000年8月にデフレ懸念が払拭されたとして、いったん解除したが、その後景気が回復したため01年3月にゼロ金利に戻した上で、潤沢に銀行に資金を供給する量的緩和政策を導入した。今年3月には量的緩和政策を解除したが、ゼロ金利政策は続けていた。
(1)公務員削減、スリム化の次は質の向上だ(7/5) **
政府が国家公務員の純減計画を決めた。国の行政機関の定員33万2,034人のうち、5年間で5.7%の1万8,936人を減らす。歳出削減のための総人件費改革という位置付けである。これまで効率化が進んでこなかったのは、既得権を守ろうとする官僚社会の弊害の現れだろう。
今回の純減計画では、採用の抑制や退職者の不補充で約8,200人減らす。さらに、8,000人近くを非公務員の独立行政法人に移行させるとしている。実際の削減は次期以降の内閣の課題となる。計画を着実に実行し、必要なら追加の削減も講じるべきである。
近く決定される「骨太方針」には、国家公務員の純減計画とともに、公務員制度全体の改革の検討を早期に始めることが明記される。簡素で効率的な政府は、量の縮小だけでできるわけではなく、公務員の資質、能力の向上を図り、政府の機能を高めることが重要である。年功序列、横並び、縦割り、硬直、非効率など、長年の弊害は解消されていない。問題は能力・実績主義の導入に留まらない。官僚主義の抜本改革には、やはり政治のリーダーシップが鍵となる。