12月第5週(12/24〜12/30)「景気拡大59ヶ月に、戦後最長2ヶ月連続更新」(最高3つの*)
(1)景気拡大59ヶ月に、戦後最長2ヶ月連続更新(12/26) ***
大田経済財政相は、12月の月例経済報告を提出した。「景気は消費の弱さが見られるものの回復している」との前月からの基調判断を据え置いた。これにより、02年2月から始まった今回の景気拡大期は4年11ヶ月(59ヶ月)に達し、戦後最長であった「いざなぎ景気」の57ヶ月を2ヶ月連続で更新した。
個別項目では、分譲マンション建設が好調なことから、住宅建設の基調判断を「このところ増加している」へ6ヶ月ぶりに上方修正した。先行きの懸念材料としては、原油価格の動向を挙げた。
(1)失業率4%割れ(12/27) ***
総務省が発表した11月の完全失業率は、前月比0.1%改善の4.0%だった。詳しくは、3.99%で、98年3月以来8年8ヶ月ぶりに4%を割り込んだ。完全失業者数は、前年同月比で33万人減り、259万人となった。そして、求職者一人に対する求人数を示す11月の有効求人倍率は、前月と同じ1.06倍であった。
国内景気の緩やかな回復を反映して、新規求人が活発化して、製造業や医療、福祉関連を中心に雇用者数が80万人増加した。総務省は、一部で厳しさが残るが、雇用情勢の改善は進んでいると分析している。
来年からの団塊の世代の退職を控え、企業の間で正社員採用を増やす動きが強まった。専門家の間では、来年半ばには3%台後半で定着する可能性が強いとの見方が大勢だ。
(1)ドイツ、付加価値税3%アップの影響楽観(12/25)
日本の消費税に当たるドイツの付加価値税の税率が、1月に現行の16%から19%に引上げられる。7回目の引上げで、今回の引き上げ幅は過去最大だ。力強い景気拡大が続く中で、増税の景気に与える影響については楽観的な見方が多い。
ドイツは、1968年に10%の税率で付加価値税を導入し、1%刻みで6回引上げられた。今回は食品、新聞、書籍などの軽減税率は7%のままだが、ほとんどの財・サービスが税率アップの対象となり、政府は約3.1〜3.8兆円の税収増効果を見込んでいる。
税率アップを前にドイツでは駆け込み需要が勢いづく。11月の新車登録台数は、前年比18.1%増の32万6,038台と、同1.4%増であった10月から急伸した。
日本では、97年4月に消費税を3%から5%に引上げた後、消費が大きく落ち込んだ。しかし、ドイツでは年明け以降の消費動向について楽観的な見方が大勢だ。強気な見方の背景には、足元の景気回復がある。中・東欧や中東への機械や自動車の輸出は好調で、11月の失業者は399万5,000人と約4年ぶりに400万人を下回った。05年2月の過去最悪の529万人と比べれば、回復振りは歴然だ。 ただ、増税で可処分所得が減るのは確実なだけに、税率アップ後の消費動向から目が離せない。
(2)ブルガリア、ルーマニアがEU加盟(12/28) ***
欧州連合(EU)は、来年1月1日ブルガリアとルーマニアを新加盟国に迎え、27ヶ国体制に拡大する。これにより、EUはバルカン半島東部に到達し、域内人口は約5億人に達する。しかし、EU拡大は、トルコの加盟問題が焦点となることもあり、当面は停滞する見通しだ。EUは、今後事実上死文化している新基本条約・EU憲法の再生など統合深化に力点を移す
現行のEU機構の規模・構成について定めるニース条約は、加盟国の最大枠を27と想定しており、EU拡大は、法制度上、機構改革の問題が解決するまでは不可能となる。
07年は、EUの前身である欧州経済共同体(EEC)の設立を決めたローマ条約調印から50年である。EUは27ヶ国体制となるとはいえ、ブルガリア、ルーマニアは域内最貧国で、域内の経済力格差が深刻化することは間違いない。重要事項の全会一致を原則とするEUの運営が、加盟国の増加によりさらに難しくなる恐れもある。
1月からは、EU議長国に大国ドイツが就き、EU機構の改革を定めたEU憲法が死文化している問題と取り組む。また、旧共産圏としては初めてスロベニアが共通通貨ユーロを導入する。