12月第4週(12/17〜12/23)メインテーマ:「名目成長率下方修正、デフレ脱却宣言困難」(最高3つの*)


[財政]

(1)財投、15兆円割れ(12/18) **

 財務省は、07年度の財政投融資計画の大枠を決めた。今年度に比べ、1兆円程度減らし、14兆円前後にする。削減は8年連続で、15兆円を下回るのは1978年度以来、29年ぶりとなる。財投計画は第二の予算といわれる。景気対策で政府系金融機関への融資が膨らんだ96年度の約41兆円が過去最大であったが、年々縮小しており、来年度はピーク時の三分の一程度となる。

 内訳を見ると、中小企業への融資を手掛ける政府系金融機関向けについて、前年度に比べ約一割少ない三兆一千億円程度とする。今年度計画で約三割を占める地方自治体向けも来年度は削減する方針である。地方自治体が過去に高い金利で借りた資金を繰上げ償還する際に必要な「補償金」の免除も認める。来年度から3年間の繰上げ償還額は三兆円である。これによる補償金免除は五千億円程度を見込む。補償金免除は、金利が5%以上の借り入れがあり、税収など収入に占める借金の割合が18%以上で、職員削減などに取り組んでいる自治体などを対象とする。


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(2)一般会計82.9兆円、国債発行25.4兆円―財務省原案 ***

 財務省の07年度予算原案の骨格によると、一般会計総額は前年度当初予算比で3兆2,000億円増の82兆9,000億円となり、2年ぶりに増加する。新規国債発行額は4兆5,000億円減の25兆4,000億円となる。これは、新規国債発行額の過去最大の減額幅である。

 政策に使う経費である一般歳出は、社会保障関係費の自然増などで6,000億円増の47兆円とし、3年ぶりに増加する。地方に配分する地方交付税は、国の税収増を受け4,000億円増の14兆9,000億円となる。そして、借金の償還に充てる国債費は2兆2,000億円増の21兆円となる。 税収は、景気回復による税収増や、定率減税廃止による個人所得税の増税分約1兆円などにより、過去最大の増加幅となる7兆6,000億円増の53兆5,000億円となる。

 国の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字は、06年度から半減し、4兆4,000億円となる。政府が掲げる「国・地方を合わせて11年度に黒字化」の目標に一歩近づいた。

プライマリーバランスについては、「重要30用語」参照)


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[景気動向]

(1)名目成長率下方修正、デフレ脱却宣言困難(12/20) ***

 19日に閣議了解された政府経済見通しで、06年度のGDPの実績見込みについて、生活実感に近い名目成長率が1.5%に下方修正され、政府・与党が目指してきた「名目2%成長」が達成できないことがほぼ確実となった。06年度中のデフレ脱却宣言も困難な情勢で、政府と日本銀行の見通しの甘さが問われる結果となった。

 06年度実績見込みの下方修正は、景気の減速が最大の要因だ。企業から家計に波及するという政府・日銀の景気回復シナリオが、賃金の伸び悩みで遅れていることが背景にある。

 07年度の経済見通しを名目成長率2.2%、実質成長率2.0%としたのは、企業から家計への波及が徐々に広がり、持続的な経済成長が進むことを前提にしている。

 政府は、07年度も世界経済の着実な回復が続くとしているが、アメリカ経済が急減速する事態となれば、政府の描く成長シナリオは再び見直しを迫られる可能性もある。

06年度実績見込み
[政府経済見通しの主要指標](単位:%)
07年度見通し
実質GDP 1.9 2.0
個人消費 0.9 1.6
設備投資 7.1 3.6
名目GDP 1.5 2.2
GDPデフレーター −0.4 0.2
消費者物価 0.3 0.5


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