12月第2週(12/3〜12/9)「玉虫色で終わった道路財源の一般財源化」(最高3つの*)


[環境問題]

(1)新エネルギー利用義務拡大(12/6) **

 経済産業省は、風力発電や太陽光発電など新エネルギーの利用を促進するため、電力会社に課す2011〜2014年度の利用義務量を引上げる方向で検討に入った。温室効果ガスの発生量を抑制し、京都議定書の目標達成を図るのが狙いだ。しかし、新エネルギーの発電コストが割高で、電力業界などでは、経営を圧迫し電力料金の値上げにつながりかねないと反発を強めている。

 03年施行の「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS法)は、風力、水力、バイオマス、太陽光、地熱の5種類を新ネルギーと規定している。電力会社に対し、2010年までに販売電力量の1.35%以上利用するように義務付けた。これを受け、発電量が急増したのが風力発電だ。99年度比で、国内の発電能力は約13倍(107万8,000キロワット)、風車の設置基数も約5倍(1,050基)となった。

 経産省は、RPS法により11〜14年度の利用義務量を1.5〜2%程度に引上げる方向で検討している。これに対し猛反発しているのが電力業界だ。新エネルギーは、既存のエネルギーに比べ2〜8倍以上発電コストが高く、引上げが経営の圧迫要因になるとしている。

 経産省は、省エネ技術を磨くという観点からだけでなく、エネルギー安全保障上も、燃料を輸入に頼る必要がない新エネルギーの利用拡大は必要としている。


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[財政]

(1)玉虫色で終わった道路財源の一般財源化(12/9) ***

 道路特定財源の見直しについて、安倍首相は、国税分約3.5兆円をすべて一般財源化するように指示していたが、道路族らの強い抵抗で玉虫色の決着となった。道路特定財源制度を見直すための改正法案は、08年の通常国会に提出する予定だ。その法案を取りまとめる作業が、最後のヤマ場となる。

 合意内容で最も分かりにくいのは、毎年度の予算で道路への歳出を上回る税収は一般財源化するとした点である。来年中に新たな中期計画を作り、道路整備を着実に進めることが盛り込まれている。また、踏み切りの立体化や電線地中化など、道路関連事業につぎ込む使途拡大分も、今後増やすことが明記された。これでは、肝心の一般財源に回せる分が出てくるのだろうか。また、使途拡大の一環として、高速道路料金を引下げる原資とすることもうたわれている。しかし、道路4公団を民営化したのに、税金を投入するのでは筋が通らない。

 3兆円近い巨額の税収をあげる揮発油税が、一般財源化の対象になるとの合意が明記されていない。これが除外されれば、骨抜きとなるため、確実に一般財源化の対象とすべきである。


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[競争政策]

(1)電話7円値上げ、NTTの経営努力は?(12/8) **

 NTTの固定電話網を過疎地でも維持するため、携帯電話を含むすべての電話加入者が、来年から毎月7円を負担する。電気通信事業法で定められた「ユニバーサルサービス基金制度」が、初めて発動されるためだ。この制度は、全国どこでも電話がつながることは全加入者の利益であるから、コストも全加入者が負担するという考えにより、02年度に導入された。しかし、他社の加入者にも負担を求めるのは、NTTのコスト削減努力が鈍らないか。制度そのものにも、問題はある。

 NTTの東西地域会社は、昨年度過疎地の固定電話や公衆電話、110番など緊急通報で518億円の赤字を出した。基金の発動条件に達し、通信各社が153億円を支払うことになった。全加入者に割り振ると、1番号当たりにつき7円になり、すべて料金に転嫁される。

 問題は、NTTの固定電話事業は、今後赤字の拡大が予想される。消費者団体は、NTT東西は他部門も含めれば黒字だと指摘し、社内で赤字を吸収できると主張する。

 電気通信は、新規事業者の躍進に、固定から携帯、IP電話への移行という技術革新が重なった。NTTの経営が悪化し、最も鋭く一律サービスが問われている。


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(2)宮崎県の落札率全国トップ、入札改革に根強い抵抗(12/9) **

 昨年度の都道府県別の公共工事(予定価格1億円以上)で、宮崎県の平均落札価格は全国トップの95.8%であった。同県土木部発注の全2,227件の工事のうち、条件付き一般競争入札は15件で、残りはすべて発注者側の裁量があることから、談合の温床とされる指名競争入札であった。

 基幹産業は公共工事といわれる同県では、03年度の県内総生産に占める公共工事の割合は、全国平均の1.7倍の9.1%である。一方、平均落札率が最も低い長野県は74.8%であった。試算では、宮崎県が長野並みの落札率だったら、年間70億円近い税金を節約できたという。長野では、02年度以降大半の工事で一般競争入札を導入し、参加業者を一定の地元業者に限定する地域要件も緩和した。

 過去に談合事件が起きるたびに、入札改革の必要が叫ばれてきた。能力さえあればどの業者も自由に参加できる一般競争入札は、受注調整や口利きを排除する有効な手段の一つには違いない。それでも、改革には、根強い抵抗感が常に伴っている。


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