8月第5週(8/27〜9/2) メインテーマ:「ユーロ高、初の150円台」(最高3つの*)
(1)「脱デフレ」来月宣言へ(8/29) ***
内閣府は、9月の月例経済報告でデフレ脱却を宣言する検討に入った。国内の需給ギャップや、消費者物価指数など物価関連の指標が着実に上向いているためで、小泉政権の経済運営の成果を示す狙いがある。政府は、デフレ脱却の判断基準として「物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないこと」と定めている。デフレは、98年から始まったといわれ、脱却は8年ぶりとなる。
国内の需要は増えつつあり、内閣府が公表した4〜6月期の需給ギャップ(実際のGDPと国内の設備や労働力を普通に使った場合の潜在的なGDPとの差)がプラス0.2%と3四半期連続の需要超過となり、脱デフレが確実となっていることを示した。 総務省が発表した7月の消費者物価指数は、前年比0.2%上昇となり、緩やかなデフレであるという異論が強いものの、上昇傾向が確認され、今後も上向く可能性が高いと判断された。
(1)酒類販売の地域規制撤廃(9/2) **
酒類販売の地域規制が1日から撤廃され、免許を取得すれば全国どこでも酒類の販売ができるようになった。コンビニやスーパーは免許申請を順次行なう方針だが、少子化の中で酒類の総需要が伸び悩む中で、酒販店間の競争は激化しそうである。
酒販免許は、03年9月に参入規制が撤廃された。中小酒販店への影響を考慮し、一部地域では出店を規制する特例が残っていたが、1日からは地域規制も撤廃となった。酒販免許を持つ業者は、05年3月時点で17万1,674社に上る。セブン−イレブンなど大手コンビニ6社は、全店舗数の約70%の2万5,748店で酒販免許を取得しているが、今後原則として全店舗で酒販免許を申請する方針である。酒類を販売する店舗と販売しない店舗では、売上が10%程度違うため、客単価が伸び悩むコンビニ業界にとり追い風になりそうである。
(2)郵政会社、肥大化の懸念(9/2) ***
小泉首相が衆議院を解散してまで実現に執念を燃やした郵政民営化は、郵便貯金や簡易保険を通じて集めた300兆円の資金が、特殊法人などの非効率な事業に使われる構造を改めるのが最大の狙いである。民営化により資金が民間向けに使われれば、経済活性化にも役立つ。
郵便、郵貯、簡保、郵便局の4事業を分離し、持ち株会社である日本郵政公社の傘下に収められる。持ち株会社は民営化後も政府が3分の1超の株式を持ちつづけるが、郵貯と簡保の2社の株式は、民営化の段階で100%売却することも首相指示で決められた。妥協したのは、持ち株会社が手放した郵貯や簡保の株式を、買い戻しできるという規定である。買い戻せば、4子会社は一体運営され、経営の効率化が進まない恐れがある。政府の関与も間接的に残り、民営化が骨抜きにされる恐れがある。
背景には、全国特定郵便局長会の危機感がある。特定郵便局長は民営化後に郵便局会社に所属するが、経営の先行き不透明感から07年3月末での退職を希望している局長が1,720人と、例年の2倍以上となっている。
07年10月の民営化時点では、郵貯銀行は総資産226兆円で金融機関として世界最大で、簡保生保も114兆円で保険業界国内最大である。そのまま認められれば、業界に大津波を引き起こしかねない。それゆえ、小泉郵政改革は独り勝ちする巨大民間企業を生む危険性があり、特に、地方への影響が大きいとする懸念が絶えない。
(1)ユーロ高、初の150円台(8/30) ****
29日に、欧州通貨のユーロが円に対して一時、史上最高値となる1ユーロ=150円07銭をつけた。99年1月に欧州統一通貨として導入されたユーロは、1ユーロ=134円95銭〜135円でスタートしたが、7年半で150円の節目を超えた。
この日の市場では、日銀の年内の追加利上げの可能性が低いとの観測が広がった。一方で、欧州の景気回復を背景に、欧州中央銀行が追加利上げを行なえば、日欧の金利差が拡大するとの思惑から、ユーロ買いが広がった。これは、日本の欧州への輸出企業にとり追い風である。ただ、輸入価格は上昇するという負の側面もある。