8月第2週(8/6〜8/12)メインテーマ:「デフレ対策、治療より予防―A.ブラインダー教授」(最高3つの*)


[景気動向]

(1)6月景気一致指数、3ヶ月連続50%超(8/8) **

 内閣府によると、6月の景気動向指数の一致指数は88.9%となり、分かれ目となる50%を3ヶ月連続で上回った。内閣府は、一致指数は改善を示す水準にあるとの基調判断を12ヶ月連続で据え置き、回復が持続しているとの認識を示した。

 数ヶ月先の見通しを示す先行指数は、3ヶ月ぶりに50%ちょうどで、50%を超えていた4、5月よりもやや悪化した。景気の動きに数ヶ月遅れて反応する遅行指数は75.0%で、9ヶ月連続で50%を上回った。


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(2)デフレからは脱却―与謝野経財相(8/9) **

 与謝野経済財政相は、「私自身はデフレから脱却したと考えている。デフレ経済であったならば、上場企業はこれほどの好決算にはならず失業率も改善することもない」との認識を示した。ただ、政府は、物価が再び持続的な下落に逆戻りしないことを確認し、今後の経済指標を確認した上で、正式にデフレ脱却を判断する方針である。

 一方、8月の月例経済報告では、「景気は回復している」との基調判断を7ヶ月連続で維持した。先行きの懸念は、前月までと同様に原油価格の影響をあげ、アメリカ経済の動向を注視する姿勢も強調した。


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[金融政策]

(1)デフレ対策、治療より予防―A.ブラインダー教授(8/8) ***

 日銀のゼロ金利政策は必要であった。しかし、物価の下落が始まってしまえば、名目上の金利をゼロにしても実質的な金利はプラスになり、効果は限られる。量的緩和政策も正しかったが、過大評価はしたくない。それにより、資金は市場に流れなかった。しかし、デフレは悪化の一途を取らず、ある一線で留まったのは事実である。その間に、政府による巨額の財政出動や超金利政策があったわけである。

 日本のデフレから学んだことは、デフレ対策は、治療よりも予防の方がずっと重要だということである。利下げが後手に回れば、実質金利はじわじわ上昇し、金利政策は有効な手段が打てなくなる。物価下落の恐れが出てきたら、手遅れになる前に、金利を大胆に素早く引下げることである。しかし、90年代初めに物価の動きに先んじた利下げが出来なかった。一方、FRBは、03年に予防的な年1%という利下げを大胆に行い、デフレ回避に成功した。

 そして、ゼロ金利解除後は、日銀は金融引締めを急ぎすぎないことである。利上げは長い時間をかけて、寸刻みに進めていくことが必要である。


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[アメリカ経済]

(1)物価高止まり米利上げ見送り、打ち止めは微妙(8/10) ***

 アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が短期金利の指標となるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を現行の年5.25%に据え置いたことで、アメリカの連続利上げは17回でまずストップした。しかし、今回が利上げの打ち止めとなるかは微妙な情勢が続いている。

 FRB声明では、住宅市況の過熱が収まり経済成長が減速し、インフレ圧力も長期的に和らぎそうだとして、これまでの利上げ効果を評価した。確かに、4〜6月期の実質GDP成長率は年率換算で前期比2.5%で、1〜3月期の5.6%から急減速した。特に住宅投資の伸びはマイナス6.3%で、住宅投資バブルの終息が鮮明となった。

 しかし、消費者物価指数は高止まりしている。乱高下するエネルギーと食品を除くコア物価指数の伸び率は、6月までの1年間に2.6%上昇し、バーナンキFRB議長が望ましい範囲とする1〜2%を上回る。さらに、中東情勢の悪化や大型ハリケーンの再来で、原油・ガソリン相場の高騰に拍車がかかれば、インフレ阻止のためFRBは景気に目をつぶって利上げを迫られかねない状況も発生しそうである。


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