4月第2週(4/2〜4/8) メインテーマ:「景気拡大期間、バブル並」(最高3つの*)


[日本経済]

(1)景気拡大期間、バブル並み ***

 02年2月に始まった景気拡大期間は、4月でバブル景気と並ぶ戦後2番目の長さになることが確実である。企業収益の向上が雇用、賃金を改善し、消費も浮揚するという好循環が見えてきた。ただ、不安材料もあるため、戦後最長の「いざなぎ景気」(4年9ヶ月)を超えられるかは予断を許さない。

 東証一部上場企業の06年3月期決算は3年連続で過去最高を更新する見通しである。2月の完全失業率も4.1%と7年7ヶ月ぶりの低水準となり、経済専門家の間では、しばらく景気回復が続くとの見方が大勢である。

 この景気拡大をけん引してきたのは、企業収益の改善である。多くの企業がバブル期に抱えた雇用・設備・債務の三つの過剰をリストラで解消し、利益を生み出す体質に転換した。財務省によると、05年10〜12月期の全産業の経常利益は、14四半期連続で増加した。また、日本銀行が01年3月から始めた金融の量的緩和策による低金利も、借金の利払い負担を軽くし企業努力を側面支援した。そして、金利が下がったことで為替が円安傾向となり、輸出を後押しする効果もあった。

 05年頃から企業は、雇用や賃金を徐々に増やした。05年の全労働者の平均月給は前年比0.1%増の30万2,000円と、4年ぶりにプラスに転じた。雇用と賃金の回復で、個人消費にも明るい兆しが見え始めている。


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(2)3月短観、市場は回復ムード好感(4/4) ***

 日銀が発表した企業短期経済観測調査(3月短観)は、4期ぶりに小幅悪化したが、大企業・中小企業とも先行きの景況感は改善したため、市場は景気回復が順調に続いていると受け止めている。物価の上昇、失業率の改善、日経平均株価の1万7,000円台の回復など底堅さを示す経済指標も相次いでおり、日銀は政府のデフレ脱却宣言の行方を注視しながら、ゼロ金利の解除時期を探ることになりそうである。


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[株式市場]

(1)株主還元広がる、配当総額5兆円超に(4/7) ***

 好調な企業業績を反映して、大幅な増配や無配からの復配など株主還元の充実に踏み切る企業が増えている。市場に出回る株式数を減らして、1株当たりの価値を高める自社株買いも活発に行なわれている。全国の上場企業による自社株取得(前年比42%増の5兆1,000億円)と、東京証券取引所第一部に上場する企業の配当総額(前年比33%増の5兆7,000億円)は、過去最高を更新する見込みである。株式の魅力向上で株価を高め、敵対的買収を未然に防ぎたいとする企業側の思惑もあるようである。

 企業が利益還元を出来るのは、業績の改善も大きな要因であるが、外人投資家の株式保有比率が高まってきたことも、還元の動きを後押ししている。全国の上場企業のうち外国人が占める比率は、時価総額で02年度の17.2%から04年度の23.7%に上昇した。外国人投資家は、業績改善に伴う余裕資金の使い道に厳しい目を光らせる傾向が強く、企業経営への外圧は強まっている。


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