1月第2週(1/8〜1/14)メインテーマ:「債務残高のGDP比改善を財政再建の新指標に」(最高3つの*)


[財政]

(1)地方公営企業、民営化動き目立つ(1/8) **

 昨年11月1日時点の総務省の調査によると、ガスや交通など地方自治体が経営する地方公営企業を民営化したり、民間に譲渡する動きが急増している。今年度の民営化・民間譲渡は59件で、前年度の30件から倍増した。このほかに、将来の民営化・民間譲渡が検討されている企業が146ある(地方公営企業は、全国で7,720ある)。

 総務省は、財政事情や地方公営企業を取り巻く厳しい経営環境を踏まえ、民営化を含めサービス供給のあり方を再検討するように各自治体に要請しており、これが最近の急増につながったと見られる。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(2)債務残高のGDP比改善を財政再建の新指標に(1/13) ***

 政府は、新たな財政再建の指標として、債務残高のGDP比を低下させることを掲げる方向で調整に入った。

 国と地方で長期債務残高は06年度末で775兆円にのぼり、対GDP比は150.8%と先進国中で最悪である。政府は、財政再建の目標として、プライマリーバランスを国と地方で10年代初頭に黒字化することを掲げているが、黒字化を達成しても長期金利の上昇で債務の利払いが膨らめば、再び財政が悪化する恐れがある。このため、プライマリーバランスの黒字化を達成したあとは、債務残高のGDP比の改善を中長期的な目標に掲げ、財政の規律と市場の信認を確保していくことが必要と判断した。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

[雇用情勢]

(1)2010年労働人口、減少の予測(1/9) **

 内閣府が昨年まとめた2005年度の経済財政白書によると、2010年の労働力人口は、04年より約3%、180万人少ない6,460万人程度になる。年率0.5%ずつ減少していく計算である。つまり、労働生産性の向上がない限り、GDPの減少、マイナス成長につながる。

 しかし、今年4月から段階的に65歳まで働けるようにする制度の導入が企業に義務付けられ、団塊の世代の退職が、直ちに労働力の減少につながるとはいえない。定年延長の動きが広がれば、熟練の技術やノウハウも円滑に継承できる。ただし、現状では、企業側が人事考課などの基準により、雇用しつづける人を選別することができる。高齢化社会を乗り切るために、60歳以上の雇用をいかに促進していくかがカギになりそうである。

 また、労働力の減少を補うために、設備投資と技術革新も欠かせない。機械化やIT化で生産効率を高めれば、GDPは拡大できる。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(2)春闘スタート、なるか賃上げ獲得(1/12) **

 11日の日本経団連と連合の首脳懇談会で事実上スタートした06年春闘は、労働側が業績回復を背景に数年ぶりにベースアップを含む賃上げ要求を打ち出し、攻めの春闘への期待が高まっている。しかし、企業の業績格差は拡大し、経営側は各社一律の賃上げには慎重な姿勢を崩していない。

 近年の春闘は、景気低迷を背景に、労組は賃上げよりも雇用の維持や定期昇給の確保をめざした消極的な戦略に終止してきた。しかし、05年9月中間期に東証一部上場企業全体で、3期連続増収増益となるなど企業業績の回復は鮮明である。そのため、賃上げ獲得への期待は高まっている。しかし、経営側には、利益が上がらない企業も横並びに賃上げすると、ますます格差がつくとして各社一律の賃上げなどに否定的な声が強い。

 春闘は、労組が2月にかけて会社側に要求を出し、3月中旬の集中解答でヤマ場を迎える。ようやく好業績を達成した日本企業は、社員のがんばりにどこまで報いるのか。06年春闘は、労使の関係を改めて問い直す機会ともなりそうである。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]