2月第3週(2/12〜2/18) メインテーマ 「格差社会、データにくっきり」(最高3つの*)


[日本経済]

(1)格差社会、データにくっきり(2/12) ***

 国会論戦などで、格差社会が焦点になっている。様々な統計やデータを見ると、格差の広がりを示すデータが目につく。5年に及ぶ小泉政権の構造改革路線の真価が問われるだけに、議論はさらに盛り上がりそうである。

 民主党の前原代表が、「小泉首相の在任中に、所得の不平等指数であるジニ係数が0.5に拡大した」と強調した。厚生労働省も、2004年6月に、最新のジニ係数は0.4983(02年)と過去最大になったと発表した。所得格差を埋める累進課税や社会保障を考慮すると、ジニ係数は0.38に留まる。しかし、90年代半ばに比べると上昇しているのは事実だ。フリーターやパートなどの増加を考慮すると、実際の格差はもっと大きいとの見方もある。

 この10年間、正規雇用者は約407万人減る一方、フリーターやパートなど非正規雇用者は約650万人増えた。リクルートワーク研究所の04年の調査によると、正社員の平均年収は531万円であるが、派遣社員は226万員、フリーターは167万円である。親との同居が多いフリーターらを独立世帯とみなせば、ジニ係数はもっと上昇する可能性が高い。


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[国際収支]

(1)2005年、所得収支黒字が貿易収支黒字を上回る(2/14) ***

 財務省による2005年の国際収支速報では、海外投資による金利や配当のやり取りを示す所得収支の黒字が、前年比22.5%増の11兆3,595億円となり、モノの取引を示す貿易黒字(10兆3,502億円)を始めて上回った。日本の経済構造が、輸出に頼る貿易立国から海外投資でも収益を得る投資立国へ変わりつつあることが浮き彫りになった。

 所得収支のうち、外国債券などの証券投資の収益は約8兆6,000億円と、全体の8割近くを占めた。金利が高い欧米へ積極的な証券投資が続けられ、対外資産残高が積み上がっている。一方、企業の海外進出や現地企業の買収などの直接投資による収益も初めて2兆円を突破した。製造業は、生産拠点を海外に分散する動きを強めている。トヨタ自動車の05年10〜12月期の営業利益の約4割は海外市場で稼いだ。

 ただ、05年の所得収支黒字が貿易収支黒字を上回ったのは、原油高による貿易黒字の縮小という側面も大きい。


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[金融市場]

(1)大手銀行4〜12月期決算、6グループとも黒字(2/16) ***

 大手銀行・金融6グループの05年4〜12月期の連結決算が出そろった。不良債権処理損失が大幅に減少したため、6グループがそろって黒字となった。三菱UFJは、前期の5,437億円の不良債権処理損失がゼロとなり、旧UFJ銀行が計上していた貸し倒れ引当金4,047億円が、融資先の業績改善で不要となり利益として繰り戻され、税引き後利益が9,000億円押し上げられた。三井住友フィナンシャルグループも、不良債権処理損失が前期より4,506億円減少し大幅増益であった。

 一方、銀行の本業のもうけである業務純益は、投資銀行業務や投資信託の販売など手数料収入が増えたみずほフィナンシャルグループ、三井住友、住友信託銀行の3グループが増益、他の3グループは利ざやの縮小などで減益となった。 なお、06年3月期の通期の予想も、6グル−プとも黒字予想である。


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[アメリカ経済]

(1) 知的侵害、アメリカが中国国内に監視要員(2/16) **

 アメリカ通商代表部(USTR)は、初の包括的な米中通商政策に関する報告書を発表し、今後の対中通商政策の指針を示した。違法な複製ソフトの流通などを監視する要員を中国国内に配置するなど、中国に国際貿易のルールを守らせる強制力の強化を図ったのが特徴である。対中貿易の赤字の累増や悪質なコピー商品に業を煮やしたアメリカ政府が遂に実力行使に踏み切ったといえる。

 2005年のアメリカの対中貿易赤字は、前年比24.5%増の2.016億ドルに達し、アメリカ貿易赤字全体の4分の1以上を占めた。アメリカ政府は、知的侵害によるアメリカ企業の被害額の大半を占めるとみられる中国での知的侵害がなくなれば、貿易赤字を相当額縮小できると見込んでいる。

 アメリカ政府は、知的侵害の情報収集能力を高めることで、中国政府に一層の取り締まり強化を迫る方針である。


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