2月第2週(2/5〜2/11) メインテーマ「上場企業の売上高・利益過去最高」(最高3つの*)
「上場企業の売上高・利益過去最高」(2/11) ***
一部上場企業の05年4〜12月期連結決算は、約88%に当たる1,188社が発表を終えた。景気回復による内需拡大や円安などを背景に、売上高と税引き後利益は、共に過去最高を更新する見込みである。
新光総合研究所の集計によると、東証一部上場企業の3月期決算企業814社(金融を除く)の05年4〜12月期連結決算は、売上高が前年同期比6.6%増、税引き後利益が同9.5%増であった。いずれも、四半期別決算が定着した03年以降で最高を記録する見込みである。内需関連企業の回復振りが目立ち、個人消費の回復を受け、小売業も同13.7%増の税引き後利益を確保した。外需に加え、力強い内需が企業業績に反映している。
好調な企業業績は、春闘の賃上げ相場を押し上げる見通しである。経団連は、06年春闘の交渉指針に賃上げ容認の方針を盛り込んだ。
ただ、原油など素材価格の高まりは、不安要因である。また、米国や中国の景気の先行きにも不安視する向きがある0。特に、米景気は、度重なる利上げで個人消費に陰りが見られ始めたとの指摘もある。
(1)アメリカ予算教書、重い義務的経費削減(2/7) **
ブッシュ米大統領が議会に送付する07会計年度の予算教書は、イラク駐留が長期化する中、広範な事業の廃止・縮小を打ち出すなど、戦時の財政再建という難問にアメリカ政府なりの解答を示すものである。しかし、予算編成の権限を握る議会は、今秋の中間選挙を控え、歳出カットにはいつにも増して慎重になると見られる。
06年度は、予算教書での154事業の廃止・縮小提案に対し、議会も89事業、合計65億ドル(約7,700億円)の削減に応じた。政府は、この実績に財政再建の活路を見出しているようである。しかし、米政府にとり根深い問題は、歳出全体の3分の2を占める義務的経費の行方である。医療費の公的支出など、現行制度に基づいて自動的に支出される義務的経費は、ベビーブーム世代の引退とともに今後経済成長を上回る年6%前後の伸びが見込まれている。このため、予算教書では、高齢者医療保険(メディケア)の制度改革による医療費の抑制を歳出削減の柱の一つとする方針である。しかし、選挙の年に、弱者切り捨ての批判を浴びる可能性のあるメディケアの改革に、議会がどこまで本気になるかはかなり不透明である。
議会審議で歳出削減が政府の思惑通りに進まないようだと、ブッシュ政権の宿願である大型減税の恒久化をはじめ、07年度の目玉事業である「米競争力構想」の先行きも分からなくなる。
(2)アメリカ貿易赤字、過去最大7,000億ドル台か(2/11) ***
アメリカ商務省によると、05年の貿易赤字は始めて7,000億ドルを突破し、赤字額が過去最大を大幅に更新する見通しである。特に、赤字の約4分の1を占める対中国の赤字は、前年比25%以上のハイペースで増加している。対日赤字も、日本の牛肉輸入再停止や日本車の勢力拡大で注目され始めている。今秋の選挙を控えた米議会などでは、赤字相手国の1、2位である中国と日本への強硬論が強まることも予想される。
2000年当時、議会では、潜在的な巨大市場である中国への米製品の輸出拡大を期待する見方が強かった。しかし、安い中国産品が米市場に押し寄せた。最近提出された中国の最恵国待遇の恒久化を撤回する法案も、アメリカ国内のいらだちを象徴している。ただ、米企業が人件費の安い中国に生産拠点を移して製品を輸入するなど、かえって赤字を拡大する動きも加速しており、アメリカの対中貿易は構造問題となっている。
「中国、人民元切り上げ警戒」(2/11) **
米国側統計と数字は大きく異なるが、中国側統計でも05年の中国の対米貿易黒字は、前年比42.5%増の1,142億ドルと過去最高を更新しており、中国政府は人民元レートの再切り上げに追い込まれつつある。
昨年7月に人民元を2%切り上げた後も貿易黒字は拡大したため、中国の輸出企業は5〜7%の切り上げても十分に耐えられるとの見方が強まっている。しかし、中国政府は経済全体に及ぼす影響を図りかねており、大幅な切り上げは避けたい意向である。
胡国家主席は、内需拡大を最優先にすると述べ、黒字減らしに取り組む姿勢を示すことで、切り上げを避けたい意向である。今後、人民元のレートを巡り、せめぎあいが激しくなりそうである。