インフォーメーション・サービ95:2006年度対策 経済史・経済事情 連載第8回「世界経済の動向」
[ 世界経済の動向
1 2001年からの世界景気の後退
(1)2001年は、世界同時減速により、ほとんどの国が景気後退となった。
(2)ITバブル崩壊により、アメリカが2000年後半から景気減速となり、アメリカへの輸出を中心に各国の外需が減少した。これが、各国の景気後退の大きな要因となった。
(3)IT関連製品の対米輸出の大幅な落ち込みにより、アジア諸国は景気が減速した。特に、2001年には、台湾とシンガポールが、マイナス成長となるほどであった。 (4)欧州も2001年第2四半期から景気減速となり、2001年の通年の実質GDP成長率は大きく低下した。
(5)しかし、アメリカ経済は、2002年春には景気回復に転じたと見られる。アジアも同時期に回復したと見られる。予想以上に世界経済が早く回復した要因は、次のものが挙げられる。
(6) 2002年後半以降、イラク情勢の緊迫化により、欧米を中心に景気回復力は弱かった。アジアでも、対米輸出を中心に輸出が鈍化し、SARSも景気に影を落とした。a.IT関連製品の在庫調整が急速に進んだ。
b.原油価格の下落。
c.財政金融政策である。金利が過去最低水準になる国も多かった。
(7) しかし、2003年後半からは、アメリカ経済にけん引され、世界経済は着実に回復した。アメリカ経済は、減税などのマクロ経済政策に支えられ、2003年後半には力強い景気回復となった。ヨーロッパも世界的な景気回復が波及し、景気回復局面に入った。
アジアでは、中国が10%近い高成長を達成し、この効果が他のアジア諸国・地域にも波及している。
その結果、2003年の世界経済の成長率は、2.8%となった。
(8)世界経済は2003年後半から着実に回復し、世界経済のけん引役であるアメリカも2004年は4.4%の高成長となり、中国も9.5と力強い成長が続いている。ヨーロッパは、各国で成長は多様であるが、緩やかな景気回復となった。そのため、世界経済全体の2004年の成長率は、前年を上回る3.9%程度になると見込まれる。
(9)好調な世界経済ではあるが、中国やインドの原油需要増加やイラク戦争などにより、原油価格は1バレル=70ドルを超えるという高水準にあり、金利上昇傾向とともに、世界経済の先行きの懸念要因となっている。
表1 世界名目GDPに占める各国・地域のシェア(2003年)
アメリカ 30.6% EU 29.4% 日本 12.0% 東アジア 8.7% 中南米 4.8% その他 15.5%