インフォーメーション・サービ136:良質かつ頻出問題の研究 第八弾



 過去に公務員試験で出題された問題の中で、その分野の理解に役立ち、今後の出題にも応用できると考えられる良質かつ頻出の問題の研究は、必須のものである。当欄では、このような視点から良質の問題を取り上げ、解説する。読者が、それぞれの分野、問題の理解に寄与して頂ければ幸いである。

[国民所得の決定] 海外を捨象した、政府を含む国民所得の決定モデルにおいて、限界消費性向が0.8、基礎消費が20、投資が40である経済を想定し、政府の税収が(税率t×国民所得)の形で表されるとする。

 このとき、完全雇用国民所得を400とすると、完全雇用と財政収支の均衡を同時に達成するためのtの値として、正しいのはどれか(平成18年度国家U種)。

0.2
0.25
0.3
0.35
0.4

[解説] 消費関数は、与えられた値より次式となる。

C=0.8(Y−tY)+20   C:消費支出  Y:国民所得(GDP)

ただし、ここでは、国民所得はGDPの意味で使われている。

 このマクロ経済モデルの需給均衡式は、総供給=総需要により、次式となる。海外を捨象しているので、輸出や輸入は右辺の総需要関数には含まれない。

Y=0.8(Y−tY)+20+40+G  G:政府支出

Yについて整理して、均衡国民所得は、

(1−0.8+0.8t)Y=60+G

Y={1/(1−0.8+0.8t)}・(60+G)・・・(1)

となる。

 財政収支均衡は、税収=政府支出により、次式で示される。

tY=G

完全雇用が達成されているため、Y=400を代入すると、

400t=G・・・(2)

完全雇用も、財政収支均衡も達成されているため、Y=400と(2)式を(1)式に代入して、tを求める。

400={1/(1−0.8+0.8t)}×(60+400t)

400×(1−0.8+0.8t)=60+400t

400−320+320t=60+400t

80t=20

t=0.25

よって、正答は、肢2である。

[補足] 問題文より、消費関数と総需要関数を示すことが、第一のカギとなる。そして、(1)式の需給均衡式を設定することが、第二のカギとなる。そして、(3)式の財政収支均衡式を示すことが第三のカギである。以上により、tの一次方程式を解けば、解答が出るのである。

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