インフォーメーション・サービ135:良質かつ頻出問題の研究 第七弾
過去に公務員試験で出題された問題の中で、その分野の理解に役立ち、今後の出題にも応用できると考えられる良質かつ頻出の問題の研究は、必須のものである。当欄では、このような視点から良質の問題を取り上げ、解説する。読者が、それぞれの分野、問題の理解に寄与して頂ければ幸いである。
[国内経済計算] 以下の数値が与えられているときの固定資本減耗と雇用者所得の値の組み合わせとして、正しいものはどれか(平成18年度地方上級)。
国民総所得(国民総生産) 490億円 要素費用表示の国内所得 370億円 海外からの純要素所得受け取り 10億円 営業余剰 90億円 間接税−補助金 50億円
固定資本減耗 | 雇用者所得 | |
1 | 60 | 280 |
2 | 60 | 270 |
3 | 70 | 280 |
4 | 70 | 290 |
5 | 80 | 290 |
[解説] 国内総生産(GDP)は、次式で示される。
国内総生産(GDP)=国民総所得−海外からの純要素所得受け取り
よって、
GDP=490−10=480 (単位は億円)
要素費用表示の国内所得は、次式で示される。
要素費用表示の国内所得=GDP−固定資本減耗−(間接税−補助金)
よって、
370=480−固定資本減耗―50
固定資本減耗=480−370−50=60
それゆえ、肢1または2が、正答である。
要素費用表示の国内所得は、次式で示される。
要素費用表示の国内所得=営業余剰+雇用者所得
よって、
370=90+雇用者所得
雇用者所得=370−90=280
したがって、正答は、1である。
[補足] この種の問題を解くには、以下の各式が重要である。
GDP=国民総所得−海外からの純要素所得受け取り
国内純生産(NDP)=GDP−固定資本減耗
要素費用表示の国内所得(DI)=NDP−(間接税−補助金)
DI=営業余剰+雇用者所得
要素費用表示の国民所得(NI)=営業余剰+雇用者所得+海外からの純要素所得受け取り
なお、DIは国内所得ともいい、NIは国民所得ともいう。