インフォーメーション・サービ131:良質かつ頻出問題の研究 第三弾
過去に公務員試験で出題された問題の中で、その分野の理解に役立ち、今後の出題にも応用できると考えられる良質かつ頻出の問題の研究は、必須のものである。当欄では、このような視点から良質の問題を取り上げ、解説する。読者が、それぞれの分野、問題の理解に寄与して頂ければ幸いである。
[労働供給] ある個人の効用関数が次のように与えられている。
U=x(12−L) U:効用水準 x:X財の消費量 L:労働供給量
X財の価格は10であり、労働1単位あたりの賃金率は20とする。この個人が効用を最大化するときの労働供給量はいくらになるか。
なお、この個人は労働によって得た所得のすべてをX財の消費に使うものとする(平成19年度国家U種)。
1 4 2 6 3 8 4 10 5 12
[解説] 所得Iは、
I=20L
となる。X財の価格は10であるので、X財の消費量xは、
x=20L/10=2L・・・(1)
これを効用関数に代入して、
U=2L(12−L)=−2L2+24L=−2(L−6)2+72・・・(2)
となる。よって、L=6で効用水準は最大となる。
よって、正答は2である。
[補足] 労働供給の決定の問題である。効用関数は、X財の消費量xと余暇(12−L)からなる。ポイントは、(1)式のようにxをLの関数として示し、効用関数を(2)式のようにLの二次関数として導くことである。
経済理論の問題ではあるが、数学的要素の濃い問題である。