インフォーメーション・サービ130:良質かつ頻出問題の研究 第二弾



 過去に公務員試験で出題された問題の中で、その分野の理解に役立ち、今後の出題にも応用できると考えられる良質かつ頻出の問題の研究は、必須のものである。当欄では、このような視点から良質の問題を取り上げ、解説する。読者が、それぞれの分野、問題の理解に寄与して頂ければ幸いである。

[供給独占](平成19年度 国家U種)

ある企業がX財を独占供給する市場において、需要曲線がp=27−4x、総費用関数 TC(x)がTC(x)=3x+10で与えられている(p:価格、x:数量)。政府がX財1単位当たりに8の課税を賦課したとき、課税後の価格は課税前の価格に比べていくら上昇するか。

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[解説] 供給独占企業は、市場で単独の企業であるので、利潤最大化により価格・生産量を決定する。課税前の利潤πは、次のように総収入TRから総費用TCを引くことにより求められる。TRは、

TR=px=(27−4x)x=−4x+27x・・・(1)

であるので、

π=TR−TC=−4x+27x−(3x+10)=−4x+24x−10  =−4(x−3)+26

よって、x=3でπは最大化され(最大利潤は26である)、需要曲線によりそのときの価格は、

p=27−4×3=15

となる。

 課税後は、1単位に8の課税がなされるので、総費用TCは、

TC=3x+10+8x=11x+10

となる。利潤最大化価格・生産量は、次のように課税前と同様に求められる。総収入TRは課税前と同じであるので、(1)式をそのまま用いる。

π=TR−TC=−4x+27x−(11x+10)=−4x+16x−10

 =−4(x−2)+6

よって、x=2でπは最大化され(最大利潤は6である)、需要曲線によりそのときの価格は、

p=27−4×2=19

となる。以上から、課税後の価格は課税前に比べ、

19−15=4

だけ上昇する。正答は2である。

[補足] 以上は、供給独占市場の利潤最大価格をπ=TR−TCにより求めたが、限界収入と限界費用を求め、両者の一致した生産量を求め、需要曲線により利潤最大価格を導くこともできる。ただ、この方法では微分法を用いなければならないので、微分法を知らない学生は、解説の解き方でやれば回答が出るのである。

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